あなたは今日も車を運転していますよね。そして、もしかしたら無意識のうちに危険運転をしているかもしれません。実は2026年1月、法制審議会が危険運転致死傷罪に関する画期的な数値基準を新設する要綱案をまとめたばかりなんです。一般道で50キロ超過、高速道路で60キロ超過が危険運転に該当し、さらにドリフト走行も新たに危険運転として明確化されることになりました。この法改正を知らないままハンドルを握り続けるのは、あまりにもリスクが高すぎます。
- 2026年法改正で危険運転の数値基準が明確化され、一般道50キロ超過で最長20年の拘禁刑
- 危険運転は8種類あり、あおり運転やドリフト走行も含まれる最新情報を完全網羅
- 初心者が無意識にやりがちな危険運転TOP5と具体的な改善方法を実践的に解説
危険運転とは?基本を押さえよう

車について疑問を持っている人のイメージ
危険運転とは、人を大きな危険にさらす悪質かつ危険な運転行為のことを指します。単なる不注意やミスとは明確に区別され、故意性や悪質性が認められる運転が該当します。
2001年に刑法が一部改正され、それまでの業務上過失致死傷罪では罰則が軽すぎるという世論を受けて危険運転致死傷罪が新設されました。さらに2014年には「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」、通称自動車運転死傷処罰法が施行され、現在はこの法律の第2条と第3条に危険運転致死傷罪が規定されています。
危険運転致死傷罪の刑罰は極めて重く、人を負傷させた場合は15年以下の拘禁刑、人を死亡させた場合は1年以上20年以下の拘禁刑に処せられます。これは過失運転致死傷罪の7年以下の拘禁刑と比較すると、その重さが際立っています。
警察庁が発表している2021年の危険運転致死傷罪の適用件数は年間約700件前後で推移しており、内容別ではアルコールの影響と殊更な信号無視が多くを占めています。ここ5年間を見ても年間700件程度がコンスタントに発生しており、危険運転が大きく減る兆しは残念ながら見られていません。
2026年法改正で何が変わる?最新情報を完全解説
2026年1月9日、法制審議会が危険運転致死傷罪の見直しを行い、速度超過と飲酒について具体的な数値基準を新設する要綱案をまとめました。これは危険運転の歴史における大きな転換点となります。
速度超過の新数値基準
これまで危険運転の要件は「進行を制御することが困難な高速度」などと曖昧にしか定義されておらず、大幅なスピード超過でも適用されないケースが少なくありませんでした。この問題を解消するため、新たに以下の数値基準が設定されることになりました。
一般道路では制限速度を50キロ超過した場合、例えば法定速度60キロの道路なら110キロ以上で走行し人身事故を起こすと危険運転致死傷罪の適用対象となります。高速道路では制限速度を60キロ超過した場合、例えば法定速度100キロの高速道路なら160キロ以上での走行が危険運転に該当します。
飲酒運転の新数値基準
飲酒についても明確な基準が設けられました。呼気1リットル中0.5ミリグラム以上または血液1ミリリットル中1.0ミリグラム以上のアルコール濃度が検出された場合、危険運転として扱われます。これは体重60キロの人がビール大瓶2本を摂取した状態に相当するデータがあります。
ちなみに酒気帯び運転の基準は呼気1リットルにつき0.15ミリグラムですから、危険運転の基準はその約3倍以上ということになります。
ドリフト走行も危険運転に追加
2026年の法改正では、ドリフト走行も新たに危険運転の対象として追加される見通しです。具体的には「殊更にタイヤを滑らせ又は浮かせることにより、その進行を制御することが困難な状態にさせて自動車を走行させる行為」と定義されます。
2013年に京都で発生した事故では、当時18歳の少年が交差点でドリフト走行を行い制御不能となってガードレールに衝突し、集団登校中の小学生5人が重軽傷を負う惨事となりました。しかし当時はドリフト走行を直接処罰する規定がなく、自動車運転過失傷害罪として懲役1年6月以上2年6月以下の不定期刑が確定するにとどまりました。もし危険運転が認定されていれば、最長15年の拘禁刑が科されていた可能性があります。
生活道路の法定速度引き下げ
さらに2026年9月1日からは、生活道路における自動車の法定速度が60キロから30キロへ引き下げられます。これは中央線や車両通行帯が設けられていない住宅街などの道路が対象で、標識がない場合は自動的に30キロが上限となります。
衝突速度30キロの場合の歩行者の死亡率は約1.40%ですが、40キロになると約5.10%に跳ね上がります。速度のわずかな差が生死を分ける要因になるため、生活道路での速度制限は人命を守るための重要な安全限界として設定されました。
法務省は2026年1月23日召集見通しの通常国会に改正案を提出し、成立を目指しています。これらの法改正により、曖昧だった危険運転の要件が明確になり、悪質ドライバーによる悲惨な事故を根絶する大きな一歩となることが期待されています。
危険運転の8つの種類を徹底解説
自動車運転死傷処罰法では、危険運転となる行為を8種類に分類しています。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
アルコールまたは薬物の影響による運転
アルコールまたは薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為が該当します。2026年の法改正では呼気1リットル中0.5ミリグラム以上という具体的な数値基準が設けられる予定です。
飲酒運転は判断力や注意力を著しく低下させ、重大事故につながる極めて危険な行為です。少量の飲酒でも運転能力は低下するため、飲んだら絶対に運転してはいけません。
制御困難な高速度での運転
進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為です。2026年の法改正により、一般道で50キロ超過、高速道路で60キロ超過という明確な基準が設定される見通しです。
高速度での運転は、ハンドル操作やブレーキ操作が遅れ、事故時の衝撃も大きくなります。制限速度を大幅に超える走行は絶対に避けなければなりません。
制御技能を有しない運転
進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為が該当します。例えば、無免許運転や技能が未熟なまま危険な運転をする場合などです。
運転技能は経験と訓練によって身につくものです。自分の技能レベルを正しく認識し、無理な運転は避けることが大切です。
妨害目的での通行妨害
人または車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人または車に著しく接近し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為です。
いわゆる「あおり運転」の一種で、2020年6月30日から妨害運転罪として厳罰化されています。車間距離を詰める、急な割り込み、幅寄せなどが該当します。
赤信号の殊更な無視
赤色信号またはこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為です。
ここでいう「殊更に」とは、単なる見落としではなく、信号が赤であることを認識しながらあえて無視することを指します。交差点での重大事故につながる極めて危険な行為です。
通行禁止道路の高速走行
通行禁止道路を進行し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為です。
歩行者天国や工事中の道路など、通行が禁止されている場所を高速で走行する行為が該当します。歩行者や作業員の安全を脅かす危険な行為です。
あおり運転による停止・徐行
通行を妨害する目的で、走行中の車の前方で停止し、または著しく接近することとなる方法で進路を変更し、その速度を急に減少させて停止または徐行させる行為です。
2020年7月2日の法改正で追加された類型で、高速道路などで相手車両を停止または徐行させる行為が該当します。2017年の東名高速夫婦死亡事故がこの法改正のきっかけとなりました。
高速道路等での危険な停止・徐行
高速自動車国道または自動車専用道路において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で進路を変更し、後続車両を停止または徐行させる行為です。
高速道路での停止や極端な徐行は、後続車両の追突リスクを高め、重大事故につながります。高速道路という特性上、より危険性が高い行為として規定されています。
初心者が注意すべき危険運転TOP5
免許を取ったばかりの初心者ドライバーが、知らず知らずのうちに危険な運転をしてしまうケースは少なくありません。ここでは初心者が特に注意すべき5つの危険運転とその改善方法を紹介します。
急ブレーキの多用
初心者によくあるのが、前方の状況把握が遅れて急ブレーキを踏んでしまうケースです。特に信号の変わり目や前の車の減速に気づくのが遅れると、ギリギリでブレーキを踏むことになります。
改善方法としては、早めに前方の状況を意識することが重要です。アクセルから足を離すタイミングを早くし、毎回「早め・やさしめ」のブレーキを意識しましょう。急ブレーキは後続車にも迷惑をかけ、追突事故のリスクを高めます。
ウィンカーの出し忘れや遅れ
右左折の直前にウィンカーを出すと、周囲のドライバーや歩行者に意図が伝わらず危険な状況を生み出します。道路交通法では、右左折の30メートル手前でウィンカーを出すことが定められています。
改善方法は、この30メートルのルールをしっかり覚えることです。慣れない道では早めに進路変更をしておくことで、余裕を持ってウィンカーを出せます。
一時停止の無視
「いけそうだからスーッと通過」という運転は、重大事故の元です。一時停止の標識がある場所では、完全に車体を止める「ピタッ」の感覚を覚えることが大切です。
標識を見逃さないように意識し、たとえ周囲に車や人がいなくても、必ず一度完全停止する習慣をつけましょう。
車線変更時の不十分な確認
車線変更の際、急にハンドルを切って後続車を驚かせてしまうことは初心者によくある失敗です。ミラーだけでの確認では死角があり、危険です。
ミラーでの確認に加えて目視で安全確認を徹底することが重要です。3秒前にウィンカーを出し、安全を確認しながらゆっくり移動しましょう。急な車線変更は周囲の車にとって予測できない動きとなり、事故のリスクを高めます。
速度の出しすぎ
後ろに車がつくとプレッシャーを感じて、必要以上にスピードを上げてしまうことがあります。しかし、自分のペースを守る勇気を持つことが安全運転の基本です。
無理に急がず、タイミングを見て譲るのも手です。焦って速度を上げることで、カーブや交差点での事故リスクが高まります。自分の技術レベルに合った速度で走行することが最も重要です。
あおり運転の実態と最新統計
あおり運転は2020年6月30日に妨害運転罪として厳罰化されましたが、残念ながら完全には根絶されていません。最新の統計データから、あおり運転の現状を見ていきましょう。
チューリッヒ保険会社が2025年に実施した調査によると、この5年以内にあおり運転をされた経験があると回答したドライバーは34.5%に上ります。約3人に1人が被害を経験しているという驚くべき数字です。
車間距離不保持による検挙件数を見ると、あおり運転の周知と取締り強化が始まった2018年から2019年にかけて大幅に増加しました。2020年の厳罰化後はコロナ禍の影響もあり減少傾向にありましたが、2023年には再び増加に転じています。
あおり運転を防止するために有効だと思う施策として、73.1%のドライバーが「更なる厳罰化」を挙げています。また、ドライブレコーダーの利用率は66.6%と年々上昇しており、事故やトラブルに備える意識が高まっていることがわかります。
あおり運転には、前の車が邪魔だと思って排除するために使う「道具型あおり運転」と、何かがきっかけで逆上し相手に警告や制裁を与えたいという意図で行う「衝動型あおり運転」の2パターンがあると専門家は指摘しています。
危険運転を受けたときの対処法
もし危険運転やあおり運転の被害に遭ってしまったら、どう対応すべきでしょうか。適切な対処法を知っておくことで、被害を最小限に抑えることができます。
安全な場所へ避難する
危険運転を受けたら、まず駐車場、サービスエリア、パーキングエリアなどの安全な場所に避難することが最優先です。相手の車からできるだけ距離を取りましょう。
決して車外に出たり、ドアロックを外したりしてはいけません。相手側のドライバーなどから強く迫られても、絶対に車外に出てはいけません。身の安全を最優先に考えましょう。
すぐに110番通報する
安全な場所に避難したら、ためらわずに110番通報してください。危険運転を受けた状況、相手の車のナンバー、車種、色などをできる範囲で警察に伝えます。
同乗者がいる場合は、スマートフォンのカメラなどで映像を記録するのも有効です。ただし、運転中の撮影は危険ですので、必ず安全な場所に停車してから行いましょう。
ドライブレコーダーの活用
ドライブレコーダーは、危険運転の証拠として非常に有効です。自分が危険運転を受けた証拠となるだけでなく、危険運転の抑止効果としても期待できます。
最近では、前後2カメラのドライブレコーダーも普及しており、より広範囲の記録が可能になっています。まだ設置していない方は、この機会にぜひ検討してみてください。
相手と距離を取る
道具型あおり運転の場合は、相手が前の車が邪魔だと思っているので、道を譲るのが無難な対応となります。無理に対抗せず、安全に譲ることで被害を避けられます。
衝動型あおり運転の場合は、より危険な運転行為に及ぶ可能性があるため、さらに注意が必要です。身の危険を感じる場合は、躊躇せずに警察に連絡しましょう。
危険運転致死傷罪と過失運転致死傷罪の違い
交通事故で人を死傷させた場合、危険運転致死傷罪と過失運転致死傷罪のどちらが適用されるかによって、刑罰は大きく異なります。両者の違いを正しく理解しておきましょう。
適用要件の違い
過失運転致死傷罪は、運転中の不注意によって交通事故を起こし、相手にケガをさせたり死亡させたりした場合に適用されます。脇見運転や漫然運転、前方不注意などの「過失」が対象です。
一方、危険運転致死傷罪は、飲酒運転や著しい速度超過などの故意的で危険な運転をして交通事故を起こし、相手をケガさせたり死亡させたりする場合に適用されます。悪質性や危険性が認められる運転が対象です。
刑罰の重さの違い
過失運転致死傷罪の刑罰は7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。ただし、傷害が軽いときは情状により刑が免除されることもあります。
危険運転致死傷罪の刑罰ははるかに重く、人を負傷させた場合は15年以下の拘禁刑、人を死亡させた場合は1年以上20年以下の拘禁刑に処せられます。
過失運転致死傷については、被害者との示談を成立させることで検察官が不起訴処分などにするケースもあり、一般の事件より不起訴になる割合は比較的高いといえます。しかし、危険運転致死傷罪の場合は悪質性が高いため、示談が成立しても厳しい処分となることが多いです。
2026年最高裁判決東名高速夫婦死亡事故
2026年1月19日、最高裁第一小法廷は東名高速夫婦死亡事故について、被告の上告を棄却し懲役18年の判決が確定しました。この事件は、2017年6月に神奈川県の東名高速道路で、妨害運転により相手方車両を追越車線に停車させ、後続の第三者車両に追突させて死傷させた事案です。
この判決は、あおり運転による高速道路での停止行為が危険運転致死傷罪に該当するという重要な判例となりました。停車中の事故に対しては危険運転致死傷罪は認められませんでしたが、停車中を除く進路妨害から停車までの走行中の行為に対して危険運転致死傷罪が適用されました。
事故を起こしてしまったときの対応
万が一、交通事故を起こしてしまった場合、適切な対応を取ることが重要です。法的な義務を果たさないと、さらに重い罪に問われる可能性があります。
法的義務を果たす
道路交通法第72条により、交通事故を起こした場合は以下の義務が課せられています。
- 直ちに車両を停止し、負傷者の救護措置を講じる
- 道路における危険を防止する措置を講じる
- 警察官に事故の状況を報告する
相手に目立ったケガがなく「大丈夫だから」といわれても、必ず警察に連絡してください。事故現場から立ち去ると救護義務違反、いわゆるひき逃げとして10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象となる可能性があります。
保険会社への連絡と示談
自動車保険に加入している場合は、速やかに保険会社に連絡しましょう。保険会社が示談を代行し、示談が成立すれば損害賠償金の支払いを行います。
示談が成立すれば、不起訴になったり刑事処分が軽減されたりする可能性が高まります。ただし、保険会社は刑事事件に対する弁護までは行ってくれません。重大な事故の場合には、弁護士への相談も検討しましょう。
これって危険運転?グレーゾーンの判断基準を解説

車について疑問を持っている人のイメージ
実際の運転では、「これって危険運転になるの?」と迷うグレーゾーンの場面が多々あります。法律では明確な基準が示されていない行為も多く、警察官の判断に委ねられるケースも少なくありません。ここでは、実務でよく問題になるグレーゾーンについて解説します。
ながら運転の「注視」はどこから?
カーナビやスマートフォンを見る「ながら運転」は2019年に厳罰化されましたが、問題は「注視」の具体的な基準が法律で定められていない点です。1秒なのか2秒なのか、明確な秒数は示されておらず、たとえわずかな時間であっても警察官が「危険」と判断した場合には違反となります。
実際の運転では、信号待ちでスマホをチェックしたり、カーナビで次の曲がり角を確認したりすることは日常茶飯事ですよね。基本的な考え方としては、運転に必要な情報を一瞬確認するのはOKですが、画面を凝視し続けるのはアウトです。
具体的には、信号待ちなど完全に停止している状態での操作は違反になりませんが、ノロノロ運転中や一時停止中に操作するのはリスクがあります。また、カーナビの目的地設定は必ず停車してから行うべきです。
サンダルやヒールでの運転はどこまで許される?
夏場のビーチサンダルや女性のハイヒールでの運転は、実はブラックに近いグレーゾーンです。法律では「とっさのブレーキ操作ができない恐れのある履物」での運転は安全運転義務違反になる可能性があると定められています。
ただし、どの程度のヒールの高さまでOKなのか、サンダルのどんな形状がダメなのかといった具体的な基準はありません。判断のポイントは、緊急時に確実にブレーキを踏めるかどうかです。
私の経験から言うと、かかとが固定されないビーチサンダルやクロックスは絶対に避けるべきです。ヒールは3センチ程度まで、足首がしっかり固定されるサンダルなら比較的安全といえます。車に運転用のシューズを常備しておくのが賢明です。
車間距離はどれくらい空けるべき?
車間距離不保持はあおり運転の代表的な違反ですが、では具体的に何メートル空けるべきなのでしょうか。一般的な目安として、速度から15を引いた数字がメートル数と覚えておくと便利です。
例えば時速60キロなら45メートル、時速100キロなら85メートルです。実際の道路では、前の車との距離をメートルで測るのは難しいので、「3秒ルール」を使いましょう。前の車が通過した地点を自分の車が通過するまでに3秒以上かかれば安全な車間距離といえます。
高速道路では、路側帯の白線の区切り(50メートル間隔)や、車間距離確認区間の看板を目安にすると良いでしょう。ただし、雨天時や夜間は通常の2倍の車間距離が必要です。
実際によくある困ったシーンの対処法
教習所では教えてくれない、現実の運転で本当に困る場面とその対処法を体験ベースで紹介します。私自身が何度も経験し、試行錯誤してきた方法です。
高速道路の合流で後ろから煽られたとき
高速道路の合流車線で加速が遅れると、本線の車から煽られることがあります。これは初心者だけでなく、非力な軽自動車に乗っている人にもよくある悩みです。
対処法は「無理に急加速しないこと」です。むしろ、合流車線の長さを最大限使って、じっくり加速しましょう。焦って急加速すると、逆にコントロールを失う危険があります。また、本線の車のスピードと自分の車のスピードをよく見て、安全なタイミングで合流します。
もし後ろから煽られても、ハザードランプを点けて「加速中です」の意思表示をすると効果的です。それでも執拗に煽ってくる車がいたら、合流後は速やかに左車線に移動し、相手を先に行かせましょう。無理に張り合う必要はありません。
制限速度で走っていて煽られる場合
これは本当に理不尽な話ですが、制限速度を守って走っているのに後ろから煽られるケースは非常に多いです。特に片側1車線の国道や、住宅街の生活道路で起こりやすい状況です。
まず理解してほしいのは、あなたは何も悪くないということです。制限速度を守ることは義務であり、それを守っているあなたが譲る必要は法律上ありません。ただし、現実問題として後続車のプレッシャーは精神的につらいですよね。
実践的な対処法としては、安全な場所で一時停止して道を譲るのが最もストレスフリーです。コンビニや駐車スペースを見つけたら、ウィンカーを出して入り、相手を先に行かせます。「負けた」と思う必要はありません。これは「危険なドライバーから距離を取る賢い判断」です。
また、2026年9月から生活道路は30キロ制限になりますから、今後はこの問題がさらに増える可能性があります。後続車のイライラを感じたら、無理せず譲ることを習慣にしましょう。
狭い道で対向車と鉢合わせしたとき
住宅街の狭い道で対向車と出会い頭に鉢合わせし、どちらがバックするかで睨み合いになることがあります。これは非常にストレスフルな状況です。
基本ルールとしては、後方に退避スペースが近い方がバックするのが合理的です。ただし、大型車と軽自動車なら軽自動車がバックする、上り坂と下り坂なら下り坂側がバックするといった暗黙のルールもあります。
私の経験では、最初に手を上げて「私がバックします」のジェスチャーをすると、相手も「ありがとう」と会釈してくれることが多いです。意地を張って睨み合うより、さっさとバックして次に進んだ方が時間の無駄になりません。
ただし、相手が明らかに道を譲るべき状況なのに動こうとしない悪質なケースもあります。そんなときは、スマホで撮影しながら警察に通報する準備をしていることを示すと、大抵の人は態度を変えます。
駐車場でのドアパンチトラブル
狭い駐車場で隣の車のドアが自分の車にぶつかる「ドアパンチ」は、実は非常に多いトラブルです。また、自分が加害者になるケースもあります。
予防策としては、空いている駐車場では両隣に車がいないスペースを選ぶことです。少し歩く距離が増えても、トラブルを避けられます。また、軽自動車や高級車の隣は避け、ファミリーカーやワゴン車の隣に停めると比較的安全です(運転が慎重な人が多いため)。
もし自分がドアパンチをしてしまったら、必ずメモを残すか、その場で車の持ち主を探しましょう。当て逃げは犯罪です。ドライブレコーダーの駐車監視機能をオンにしておくと、自分が被害に遭ったときの証拠になります。
信号待ちで後続車にプレッシャーをかけられる
信号待ちで停車しているとき、後続車が異常に車間を詰めてきて、青信号に変わった瞬間にクラクションを鳴らすケースがあります。これは軽度のあおり運転ですが、証拠を掴むのが難しい行為です。
対処法は、青信号になったら落ち着いて発進し、最初の角を曲がって別ルートに入ることです。急いで発進する必要はありません。後続車がクラクションを鳴らしてきても、安全確認をしっかり行ってから発進しましょう。
信号が変わりそうなタイミングでは注意を前方に向け、スマホ操作やナビの確認は控えます。ただし、後続車のプレッシャーに焦って急発進すると、前方の歩行者や自転車を見落とす危険があります。安全第一で、後続車のことは気にしすぎないことが重要です。
ドライブレコーダーの選び方と使い方の実践知識
ドライブレコーダーは危険運転対策の必需品ですが、どれを選べばいいのか迷いますよね。2025年の調査では利用率が66.6%に達していますが、性能や機能は製品によって大きく異なります。
前後2カメラは絶対に必要
前方カメラだけのドライブレコーダーでは不十分です。あおり運転は後方から来ますし、追突事故も後方からです。前後2カメラタイプを選びましょう。価格は少し高くなりますが、2万円前後で十分な性能のものが手に入ります。
また、画質は最低でもフルHD(1920×1080)以上を選んでください。ナンバープレートがはっきり読み取れる解像度が必要です。夜間の撮影性能も重要なので、「WDR」や「HDR」といった逆光補正機能がついているものを選びましょう。
駐車監視機能は本当に必要?
駐車監視機能は、エンジンを切っている間も録画を続ける機能です。当て逃げやいたずらの証拠を掴むには有効ですが、バッテリー上がりのリスクがあるため、使い方に注意が必要です。
駐車監視を使うなら、モーション検知タイプ(動きを感知したときだけ録画)を選び、タイマー設定で3時間程度に制限するのがおすすめです。また、バッテリー電圧が一定以下になったら自動で停止する機能がついているものを選びましょう。
録画データの保存期間と容量
ドライブレコーダーはSDカードにループ録画するため、古いデータから順に上書きされます。事故や危険運転に遭遇したら、すぐにその場で「イベント録画ボタン」を押して上書き保護をかけましょう。
SDカードの容量は32GB以上を推奨します。これで前後カメラ合わせて3〜4時間程度の録画が可能です。ただし、SDカードは消耗品なので、半年〜1年ごとに交換する必要があります。エラーが出る前に定期交換する習慣をつけましょう。
保険の実務的な話知っておくべきポイント
危険運転に遭遇した場合や、自分が事故を起こした場合、保険がどこまでカバーしてくれるのかは重要な問題です。実務的なポイントを押さえておきましょう。
ドライブレコーダー特約は入るべき?
最近の自動車保険には「ドライブレコーダー特約」があり、月額数百円でレンタルドライブレコーダーと事故時の映像自動送信サービスが受けられます。自分でドライブレコーダーを購入・設置するのが面倒な人には便利ですが、性能や機能は市販品に劣ることも多いです。
私の意見としては、ある程度車に詳しい人なら自分で市販品を購入した方がコストパフォーマンスが良いです。ただし、高齢の親や機械が苦手な家族の車には、保険会社のレンタル品も選択肢としてありです。
弁護士費用特約は絶対に付けるべき
弁護士費用特約は、自動車保険で最もコスパが良い特約です。年間2,000円程度の保険料で、300万円程度までの弁護士費用をカバーしてくれます。
もらい事故や危険運転の被害に遭った場合、相手が無保険だったり、保険会社が示談交渉に応じなかったりするケースがあります。そんなとき、弁護士費用特約があれば自己負担なしで弁護士に依頼できます。危険運転致死傷罪で相手を告訴する場合にも使えます。
車両保険の免責金額の考え方
車両保険に入る際、免責金額(自己負担額)をいくらに設定するかは悩ましい問題です。免責金額を高く設定すると保険料は安くなりますが、小さな事故の修理費は全額自己負担になります。
私の推奨は「1回目5万円、2回目10万円」の設定です。ドアパンチ程度の小さな傷なら修理費5万円以下で収まることが多く、保険を使わずに済みます。大きな事故の場合は5万円の自己負担で残りをカバーしてもらえます。
企業ドライバーが知っておくべき危険運転対策
営業車や配送車など、業務で車を運転する人は個人ドライバー以上に危険運転対策が重要です。会社の責任も問われるため、組織的な取り組みが必要です。
アルコールチェックの義務化対応
2022年4月から、一定台数以上の車両を保有する企業にはアルコールチェックの義務化が始まりました。単に検査するだけでなく、記録を1年間保存する義務があります。
クラウド型のアルコールチェッカーを導入すると、検査結果が自動でサーバーに送信され、管理者がリアルタイムで確認できます。直行直帰の営業マンや、早朝出発のドライバーの管理も容易になります。初期費用は1台2〜3万円程度ですが、管理の手間が大幅に削減されます。
速度超過の防止策
営業車の速度超過は、納期や訪問時間のプレッシャーから起こりがちです。GPSと連動した速度管理システムを導入すると、速度超過があった場合にアラートが管理者に届きます。
ただし、速度超過を厳しく取り締まるだけでは、ドライバーのストレスが溜まり逆効果です。訪問スケジュールに余裕を持たせる、渋滞を考慮したルート設定をするなど、速度超過しなくても間に合うような業務設計が根本的な解決策です。
社用車のドライブレコーダー設置率100%を目指す
企業が保有する車両には、全車にドライブレコーダーを設置すべきです。事故やトラブル時の証拠になるだけでなく、ドライバーの安全運転意識が高まります。
ただし、常時監視されることにストレスを感じるドライバーもいます。「事故やトラブル時以外は映像を見ない」「プライバシーに配慮する」といったルールを明確にし、ドライバーの理解を得ることが大切です。
ぶっちゃけこうした方がいい!
ここまで危険運転について法律、統計、対処法と様々な角度から解説してきましたが、正直に言いますね。最も重要なのは「危険なドライバーから距離を取ること」です。
法律を知ることは大切です。自分の権利を主張することも間違いではありません。でも、現実問題として、煽られているときに「私は制限速度を守っているから正しい!」と意地を張っても、ストレスが溜まるだけです。事故に巻き込まれたら、正しかったとしても痛い思いをするのは自分です。
個人的には「無理せず譲る、さっさと逃げる、関わらない」が最も効率的だと思っています。危険なドライバーに出会ったら、プライドは捨てて道を譲る。高速道路なら左車線に移動して先に行かせる。狭い道で鉢合わせたら、手を上げて「私がバックします」と伝える。
これって負けたわけじゃないんです。賢く、効率的に、ストレスなく運転を続けるための戦略なんです。相手と張り合って事故を起こしたら、どんなに自分が正しくても時間も お金も失います。保険料も上がります。
そして、ドライブレコーダーは絶対に前後2カメラで設置してください。これは投資です。2万円で安心と証拠が手に入ります。事故やトラブルが起きてから「つけておけばよかった」と後悔するより、今日つけましょう。
2026年の法改正で危険運転の基準が明確になり、生活道路は30キロ制限になります。つまり、これから危険運転に対する社会の目は今まで以上に厳しくなるということです。法律が変わるこのタイミングで、自分の運転を見直し、備えを整えることが、結局は一番楽で効率的な道なんです。
安全運転は面倒くさいと思うかもしれません。でも、事故を起こすほうがよっぽど面倒くさいです。警察への連絡、保険会社とのやりとり、修理工場への対応、場合によっては裁判。そんな時間があったら、最初から安全運転してドライブレコーダーつけて、危険な車からは距離を取る。これがぶっちゃけ、最も賢い選択だと私は確信しています。
よくある質問
危険運転致死傷罪で起訴されると必ず実刑になるの?
危険運転致死傷罪は悪質性が高いため、起訴されると実刑判決が出る可能性は高いです。ただし、被害者との示談が成立している、傷害の程度が軽微である、初犯であるなどの情状が認められる場合には、執行猶予がつくケースもあります。しかし、過失運転致死傷罪と比較すると、実刑判決の割合ははるかに高いのが実情です。
無免許運転は危険運転致死傷罪になる?
無免許運転自体は道路交通法違反ですが、それだけでは危険運転致死傷罪には該当しません。ただし、無免許で「進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させ」、その結果人を死傷させた場合には、危険運転致死傷罪が適用される可能性があります。また、無免許運転中に飲酒運転や著しい速度超過などの危険運転を行い人を死傷させた場合は、当然ながら危険運転致死傷罪が適用され、無免許運転の罪も加わるためさらに重い処罰となります。
2026年の法改正はいつから施行される?
法制審議会が2026年1月に要綱案をまとめ、2月にも法制審総会で法務大臣に答申される見通しです。法務省は2026年1月23日召集見通しの通常国会に改正案を提出し、成立を目指しています。成立後の施行時期は法律で定められますが、通常は公布から数か月後となることが多いです。一方、生活道路の法定速度30キロへの引き下げは2026年9月1日からの施行が決定しています。
ドライブレコーダーは必ず設置すべき?
法律上の義務ではありませんが、強く推奨されます。2025年の調査では、ドライブレコーダーの利用率は66.6%に達しており、多くのドライバーが設置しています。ドライブレコーダーは事故発生時の証拠として有効なだけでなく、あおり運転などの危険運転を受けた際の証拠にもなります。また、記録されることを意識することで、自分自身の安全運転意識も高まります。前後2カメラタイプの設置がより効果的です。
危険運転の被害に遭った場合、慰謝料は請求できる?
危険運転の被害に遭った場合、加害者に対して損害賠償を請求できます。治療費や休業損害などの実損害に加えて、精神的苦痛に対する慰謝料も請求可能です。危険運転致死傷罪が適用される悪質な事故の場合、過失運転による事故よりも慰謝料が高額になる傾向があります。民事訴訟を起こす際には、弁護士に相談することをお勧めします。また、自分が加入している自動車保険に弁護士費用特約がついていれば、弁護士費用をカバーできる場合があります。
まとめ危険運転を知り、安全運転を心がけよう
2026年は危険運転に関する法改正の大きな節目の年となります。速度超過と飲酒に具体的な数値基準が設けられ、ドリフト走行も危険運転として明確化され、さらに生活道路の法定速度が30キロに引き下げられます。
危険運転致死傷罪は最長20年の拘禁刑という極めて重い刑罰が科される犯罪です。アルコールや薬物の影響、制御困難な高速度、あおり運転など8つの類型が定められており、これらの行為により人を死傷させた場合には厳しく処罰されます。
一方で、初心者ドライバーが無意識にやってしまいがちな危険な運転もあります。急ブレーキの多用、ウィンカーの出し忘れ、一時停止の無視、不十分な安全確認、速度の出しすぎなどは、意識することで改善できます。
あおり運転の被害に遭った場合は、安全な場所に避難し、ためらわずに110番通報することが大切です。ドライブレコーダーの設置は、被害を受けた際の証拠として、また危険運転の抑止効果としても非常に有効です。
危険運転は他人の命を奪う可能性がある重大な犯罪行為です。2021年の適用件数は約700件、5年以内にあおり運転を経験した人は34.5%という統計が示すように、決して他人事ではありません。
ハンドルを握る一人ひとりが「思いやり・ゆずり合い」の気持ちを持ち、安全な速度と方法で運転することが、悲惨な交通事故を防ぐ唯一の方法です。2026年の法改正を機に、あらためて自分の運転を見直し、安全運転を心がけましょう。


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