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車が雪で動かないときの脱出法と命を守る対策【2026年最新版】

車の知識

2026年1月、日本列島は記録的な寒波に見舞われました。青森県酸ケ湯では積雪459センチを記録し、札幌市でも21年ぶりに1メートルを超える積雪となりました。こうした大雪の中、アクセルを踏んでも車が前に進まない、タイヤが空回りして動けなくなる「スタック」に遭遇するドライバーが急増しています。焦ってアクセルを踏み込めば踏み込むほど、状況は悪化するばかり。しかし、正しい知識と対処法を知っていれば、多くの場合は自力で脱出できるのです。

ここがポイント!
  • 雪道スタックの脱出は振り子走法とタイヤ下の摩擦材が決め手
  • マフラーが雪で埋まると22分で命に関わる一酸化炭素中毒の危険
  • TCSとVSCをオフにする、FR車は後部荷重を増やすなど車種別対策が効果的

スタックとは?なぜ車が動かなくなるのか

車について疑問を持っている人のイメージ

車について疑問を持っている人のイメージ

スタックとは、雪道や砂地、ぬかるみなどでタイヤが空転し、前にも後ろにも進めなくなる現象を指します。特に雪道では、タイヤと路面の摩擦力が極端に低下するため、アクセルを踏んでもタイヤが空回りするだけで、車体は微動だにしません。

スタックが起きやすい状況として、新雪への突入、圧雪路での急発進、坂道の途中停車後の再発進、轍にはまった状態などが挙げられます。2026年1月の大寒波では、日本海側を中心に短時間で積雪が急増したため、普段は雪に慣れていない地域でも多くのスタック事例が報告されました。

タイヤがグリップを失う主な原因は、雪の上で摩擦係数が著しく低下することにあります。乾燥した路面と比較すると、凍結路面は5倍以上も滑りやすくなるというデータもあります。さらに、アクセルを強く踏み込むことで発生する摩擦熱が雪を溶かし、タイヤと路面の間に水の膜を作ってしまうため、より一層グリップ力が失われるのです。

命に関わる一酸化炭素中毒の危険性

スタックしたときに最も警戒すべきなのが、一酸化炭素中毒です。JAFの実験によると、車が雪に埋もれた状態でエンジンをかけ続けると、わずか22分で車内の一酸化炭素濃度が1,000ppmに達し、失神する危険レベルに到達することが明らかになっています。

一酸化炭素は無色・無臭・無刺激の気体であるため、車内に充満していても気づくことができません。マフラーが雪で埋まると、排気ガスの逃げ場がなくなり、車の床下に溜まった排気ガスがエアコンの外気導入口や車体の隙間から車内に侵入します。気づいたときには頭痛や吐き気、眠気などの症状が現れ、判断力が低下して適切な対処ができなくなってしまいます。

立ち往生したときは、何よりも先にマフラー周辺の除雪を最優先してください。JAFの検証では、マフラー周辺を除雪した場合は、車がボンネットまで雪に埋まっていても車内の一酸化炭素濃度はほとんど上がらないという結果が出ています。一方で、窓を5センチほど開けただけでは不十分で、風が止むと危険レベルまで濃度が上昇することも確認されています。

体力の限界や降雪ペースが除雪に追いつかない場合は、エンジンを切る決断も必要です。その際は、毛布や防寒着、使い捨てカイロなどで可能な限りの防寒対策を行いましょう。JAFの寒さ対策検証では、毛布と使い捨てカイロの組み合わせ、または冬山用の寝袋があれば、8時間程度は寒さに耐えられることが実証されています。

雪道スタックからの効果的な脱出テクニック

スタックから脱出するための第一歩は、状況を冷静に把握することです。運転席から降りて車外に出て、タイヤの状態、雪の深さ、車体の位置を確認しましょう。その上で、以下の方法を状況に応じて試してください。

まず試したいのが「振り子脱出法」です。ギアを前進と後退に素早く切り替え、車体を前後に揺らしながらタイヤが動ける範囲を少しずつ広げていきます。このとき重要なのは、アクセルをゆっくりと丁寧に踏むこと。強く踏み込むとタイヤが空転して摩擦熱で雪が溶け、かえって状況が悪化します。振り子のように車を揺らし、勢いをつけてボウルから飛び出すイメージで操作すると効果的です。

この方法を試す際は、TCS(トラクションコントロールシステム)とVSC(ビークルスタビリティコントロール)をオフにするのが鉄則です。これらの安全装置は通常の走行では有効ですが、スタック時にはタイヤの空転を抑制してしまい、脱出に必要な駆動力が得られません。ただし、車種によっては悪路走行性能を高める機能やスタック脱出支援機能が備わっている場合があるので、それらの機能はオンにしましょう。

車がまったく動かない場合は、タイヤの摩擦力を増やす方法に切り替えます。最も確実なのは脱出用ラダーやタイヤチェーンを駆動輪の下に敷くことですが、これらを備えていない場合は、フロアマットを駆動輪と雪の隙間に深く差し込むことで、脱出に必要なグリップを稼げます。フロアマット以外にも、レジャーシート、ダンボール、周囲に落ちている木の枝や砂利なども代用可能です。雪国の道路脇には砂箱が設置されていることが多いので、砂を駆動輪にまくのも効果的です。

タイヤの下に何かを挟む場合は、アクセルを踏んだ際に挟んだ物が勢いよく後方に飛び出す可能性があるため、周囲の安全確認を怠らないようにしましょう。また、脱出に成功する瞬間は唐突で、車が大きく動き出すため危険を伴います。同乗者や通行人に車を押してもらう場合は、特に注意が必要です。

車種別の効果的な脱出方法

スタックからの脱出方法は、車の駆動方式によって異なるアプローチが効果的です。

FR車(後輪駆動車)の場合は、後部座席に同乗者に乗ってもらったり、荷物をトランクに積んだりして駆動輪の荷重を高めることで、タイヤのグリップ力が向上します。砂袋をトランクに積んでおくと、スリップ時に砂をまけるという一石二鳥の効果があります。また、後輪が溝に落ちた程度であれば、後ろから人が押すだけでも効果的です。

FF車(前輪駆動車)の場合は、ハンドルをこまめに切りながら雪を踏み固めていく方法が有効です。タイヤの向きを変えることで、より広い範囲の雪を踏み固めることができ、脱出しやすくなります。また、後輪の片方だけが溝に落ちた程度であれば、後ろから押してもらうことで比較的容易に脱出できます。

4WD車でもスタックは発生します。4WDは走破性が高いものの、過信は禁物です。新雪や深雪では、車体全体が雪に埋もれてしまうと、いくら4WDでも脱出は困難になります。この場合も、基本的な対処法は2WD車と同じです。

タイヤの空気圧を下げることで接地面積を増やし、グリップ力を向上させる方法もあります。ただし、この方法を使った場合は、脱出後に必ずガソリンスタンドなどで適正空気圧に戻すことを忘れないでください。空気圧が低いまま走行を続けると、タイヤの損傷やパンクのリスクが高まります。

スタックを防ぐための雪道運転テクニック

そもそもスタックしないための予防運転が最も重要です。雪道では「急」のつく操作を徹底的に避けましょう。急発進、急ブレーキ、急ハンドルはすべてスタックやスリップの原因になります。

発進時はアクセルをじわっと優しく踏み込む「フェザータッチ」を心がけてください。雪国のドライバーは、たとえスタッドレスタイヤを装着していても、動き出すときにアクセルを強く踏むことはしません。足先に神経を集中させて車を少しだけ進ませるような感覚で操作しています。

車間距離は普段の2〜3倍を取りましょう。雪道では制動距離が2倍以上に伸びることが多いため、十分な車間距離がないと追突の危険性が高まります。また、ブレーキは早めに軽く踏み始めることが基本です。

山道などの坂道では、完全停止を避けることが極めて重要です。それまで順調に走行できていても、一度完全停止すると再発進できなくなるケースがよくあります。一時停止が必要な場合を除いて、できる限り徐行で少しでも車が動く状態を維持しましょう。

雪が深く積もっている道では、中央の新雪部分よりも、既に他の車が通って踏み固められたルートを選んだ方が安全です。新雪は柔らかくてタイヤが埋まりやすいため、スタックのリスクが高まります。

ブラックアイスバーンにも注意が必要です。これは一見濡れたアスファルトのように見えて、実は路面が凍結している現象です。通常のアイスバーンは日中なら目視で確認できますが、ブラックアイスバーンは油断しやすく、スリップの原因となります。雪道では、普通のアスファルトのように見えても気を緩めず、常に慎重な運転を心がけましょう。

車に常備すべき雪道トラブル対策グッズ

突然のスタックや立ち往生に備えて、以下のアイテムを車に積んでおくと安心です。

必須アイテムとして、スコップまたは折りたたみ式シャベル、脱出用ラダー(スタックラダー)、タイヤチェーン、牽引ロープ、軍手またはゴム手袋、長靴が挙げられます。スコップは雪かきだけでなく、タイヤ周辺の雪を除去する際にも不可欠です。脱出用ラダーは、ロール状に巻いておけるタイプが保管場所を取らずおすすめです。

防寒・安全対策グッズとして、毛布または冬山用寝袋、使い捨てカイロ、防寒着、飲料水、非常食、モバイルバッテリー、簡易トイレ、懐中電灯を用意しましょう。高速道路や山間部では1日以上立ち往生することもあります。特に毛布と使い捨てカイロの組み合わせは、エンジンを切った状態でも8時間程度は寒さに耐えられることがJAFの検証で実証されています。

その他の便利グッズとして、ブースターケーブル(バッテリー上がり対策)、スノーブラシ・スクレイパー(窓の雪や氷を除去)、解氷剤、三角表示板(後続車への警告)があると、さまざまなトラブルに対応できます。

これらのグッズに加えて、出発前にはガソリンを満タンにしておくことも重要です。立ち往生が長時間に及ぶ場合、燃料不足は命に関わる問題になりかねません。

自力脱出が無理な場合の対処法

上記の方法を試してもスタックから脱出できない場合は、無理をせずロードサービスに連絡しましょう。JAFなら電話番号#8139、または0570-00-8139で24時間対応しています。JAF会員であれば、雪道でのスタック救出は何度でも無料です。非会員の場合は21,700円の料金がかかりますが、命には代えられません。

また、自動車保険に付帯しているロードサービスも活用できます。保険会社によって条件が異なるため、事前に契約内容を確認しておくとよいでしょう。

他の車に牽引してもらう場合は、牽引用のロープが必要です。通常のロープでは重量に耐えられず切れてしまうため、ロープ部分が太く金具がしっかりした専用の牽引ロープを準備しておきましょう。牽引時のポイントは、ロープが引きたい方向に対してできるだけ真っ直ぐになるようにすること、安全な場所まで確実に牽引してから停車すること、牽引車にはできるだけスタック車よりも重い車両を選ぶことです。

周囲に人がいない場合や、夜間で視界が悪い場合は、道路管理者や警察にも連絡しましょう。特に高速道路や主要国道でのスタックは、後続車の追突事故につながる危険性があるため、速やかに通報することが重要です。

スタック脱出後に必ずチェックすべき車の異常サイン

車について疑問を持っている人のイメージ

車について疑問を持っている人のイメージ

スタックから脱出できたからといって、そのまま何事もなかったように走り続けるのは危険です。実際、私が雪国で取材した際、スタック脱出後にタイヤバーストや足回りの破損で再び立ち往生したケースを何度も目撃しました。

まず確認すべきは下回りの損傷です。雪に埋まった状態で無理にアクセルを踏み続けると、マフラーやバンパー下部が雪の塊に強く押し付けられて変形することがあります。特にマフラーの接合部が緩んでいると、走行中に大きな音が出たり、排気ガスが車内に入り込んだりする危険性があります。脱出後は一度車の周りを一周して、下回りから何か垂れ下がっていないか、変な音がしないかを確認しましょう。

タイヤも入念にチェックが必要です。スタック時にタイヤを空転させると、摩擦熱でゴムが溶けたり、タイヤの内部構造にダメージを与えたりすることがあります。特に注意すべきはタイヤのサイドウォール(側面)です。ここに膨らみや亀裂がある場合、走行中にバーストする危険性が高いため、すぐに交換が必要です。また、脱出時にフロアマットや木の枝をタイヤの下に挟んだ場合、それらがタイヤハウス内に残っていないかも確認してください。高速走行時にこれらが飛び出すと、後続車に当たって事故につながります。

ブレーキの感触も確認しましょう。スタック脱出のために前後に激しく車を揺さぶった場合、ブレーキフルードに空気が混入したり、ブレーキパッドが異常摩耗したりすることがあります。走り出してからブレーキペダルを軽く踏んでみて、いつもと違う感触(スポンジのように柔らかい、奥まで踏み込まないと効かないなど)があれば、すぐに安全な場所に停車してロードサービスを呼びましょう。

エンジンルームからの異音や異臭にも注意が必要です。長時間のアイドリングやエンジンの高回転が続いた後は、冷却水が沸騰していたり、エンジンオイルが劣化していたりする可能性があります。ボンネットを開けて、冷却水のリザーバータンクを確認し、水位が極端に減っていないかチェックしてください。焦げ臭いにおいがする場合は、どこかが過熱している証拠です。

夜間のスタック対処法と視認性確保の重要性

夜間のスタックは昼間の何倍も危険です。2026年1月の大寒波では、夜間にスタックして後続車に追突された死亡事故も報告されています。視界が悪い中でのスタックは、二次災害のリスクが極めて高いのです。

夜間にスタックした場合、最優先事項は後続車への警告です。すぐにハザードランプを点灯させ、可能であれば三角表示板を車の後方50メートル以上離れた場所に設置してください。高速道路では100メートル以上が推奨されています。三角表示板がない場合は、発煙筒を使用します。発煙筒の燃焼時間は約5分間なので、複数本用意しておくと安心です。

夜間の除雪作業は想像以上に危険です。懐中電灯やヘッドランプは必須アイテムですが、ここで重要なのは反射材のついた作業着や蛍光色のベストを着用することです。真っ暗な雪道では、黒い服装をしていると後続車から全く見えません。実際、除雪作業中のドライバーが後続車にはねられる事故は毎年発生しています。

マフラー周辺の除雪も昼間より困難です。雪が凍り付いている場合、懐中電灯の光だけでは作業しづらく、不完全な除雪になりがちです。そこで役立つのが車のヘッドライトを利用した照明確保です。ハザードを点けたまま、一時的にヘッドライトをつけて作業エリアを照らすことができます。ただし、バッテリー上がりを避けるため、照明は必要最小限にとどめましょう。

夜間は気温がさらに下がるため、除雪した雪がすぐに凍結して滑りやすくなります。作業中に転倒してケガをするケースも多いので、長靴の底がしっかりしたものを履き、ゆっくりと慎重に動くことが重要です。

バッテリー上がりとスタックの同時発生時の対処

冬場に起こりやすい最悪のシナリオが、スタックとバッテリー上がりの同時発生です。気温が氷点下まで下がるとバッテリーの性能は大幅に低下し、さらに長時間のアイドリングや暖房の使用でバッテリーが上がってしまうことがあります。

バッテリーが上がってしまうと、エンジンがかからなくなるだけでなく、ハザードランプも点灯しなくなるため、後続車への警告ができなくなります。この状態は極めて危険です。もしバッテリー上がりの兆候(ライトが暗くなる、セルモーターの回転が鈍くなる)を感じたら、すぐに周囲の車に救援を求めましょう。

ブースターケーブルがある場合は、他の車から電気を分けてもらうジャンプスタートが可能です。ただし、接続方法を間違えると火災や爆発の危険があるため、正しい手順を知っておく必要があります。赤いケーブルをプラス端子に、黒いケーブルをマイナス端子に接続しますが、バッテリーが上がった車のマイナス端子には直接つながず、エンジンブロックなどの金属部分に接続することが重要です。

モバイルバッテリー式のジャンプスターターは、このような緊急時に非常に役立ちます。他の車の協力を得られない状況でも、自分だけでエンジンを始動させることができます。ただし、寒冷地ではモバイルバッテリー自体も性能が低下するため、車内など比較的暖かい場所で保管しておきましょう。

バッテリー上がりを防ぐには、暖房の使用を間欠的にすることが効果的です。エンジンをかけて車内を十分暖めたら、一度エンジンを切って毛布で防寒し、寒くなったら再度エンジンをかけるというサイクルを繰り返します。これにより、バッテリーの消耗を最小限に抑えられます。

家族連れでのスタック時に知っておくべき特別対応

子供や高齢者が同乗している状態でのスタックは、一人でのトラブルとは全く異なる対応が必要です。特に乳幼児や小さな子供がいる場合、パニックを起こさせないための配慮が重要になります。

まず理解すべきは、子供と高齢者は大人よりも寒さに弱いということです。体温調節機能が未発達な乳幼児や、調節機能が衰えた高齢者は、同じ車内にいても大人より早く低体温症になる危険性があります。エンジンを切った車内では、外気温がマイナス10度の場合、3時間後には車内温度もマイナス7度まで下がります。

子供が同乗している場合は、防寒対策を最優先にしてください。毛布で包み、大人が抱きかかえて体温を分け与えることも効果的です。また、不安を和らげるために、おやつやおもちゃを用意しておくと役立ちます。ただし、水分補給は控えめに。トイレの問題が深刻化すると、さらにストレスが増します。簡易トイレは必ず車に積んでおきましょう。

高齢者の場合は、持病の薬の確保が重要です。糖尿病や心臓病、高血圧などの持病がある方は、長時間の立ち往生で薬が切れると命に関わります。常備薬は車内に予備を置いておくか、少なくとも外出時は必ず持参するようにしてください。

除雪作業をする際は、子供を絶対に車外に出さないでください。好奇心で車の周りをウロウロすると、後続車にはねられる危険があります。車内に一人で残すのも危険ですので、必ず大人が一人は車内に残る体制をとりましょう。可能であれば、同乗者がいる場合は、一人が除雪、一人が車内で子供の世話という役割分担が理想的です。

妊婦さんが同乗している場合は、さらに注意が必要です。長時間同じ姿勢でいることで血栓症のリスクが高まるため、車内でできる範囲で軽いストレッチを勧めてください。また、お腹が張ったり、出血があったりする場合は、すぐに救急車を呼ぶ判断が必要です。

スタッドレスタイヤの限界を見極める実践知識

多くのドライバーが誤解しているのが、「スタッドレスタイヤを履いていれば雪道は大丈夫」という認識です。実際には、スタッドレスタイヤにも明確な限界があり、それを超えるとノーマルタイヤと変わらないほど危険になります。

新品からの経年劣化が最も見落とされがちな問題です。スタッドレスタイヤのゴムは、製造から3〜4年で劣化が始まります。溝が十分に残っていても、ゴムが硬化していれば本来の性能は発揮できません。タイヤを指で押してみて、弾力がなく硬いと感じたら、交換時期と考えてください。また、タイヤの製造年週は、タイヤ側面に4桁の数字で刻印されています(例「2621」は2026年の21週目製造)。

溝の深さも重要な指標です。新品のスタッドレスタイヤの溝は約10ミリありますが、残り溝が50%(5ミリ)を切ったら冬用タイヤとしての性能は大幅に低下します。プラットホーム(残り溝50%を示す突起)が露出していたら、もはや雪道での使用は危険です。法律上は1.6ミリまで使用可能ですが、これはあくまで夏の乾燥路での基準であり、雪道では全く通用しません。

氷点下15度を下回る極寒地では、通常のスタッドレスタイヤでも性能が落ちることがあります。北海道や東北の山間部で冬を過ごす場合は、北海道・北東北地方専用のスタッドレスタイヤを選ぶことをおすすめします。これらは極低温でも柔軟性を保つ特殊なゴムを使用しており、より高いグリップ力を発揮します。

保管方法も性能に影響します。夏の間、直射日光が当たる場所や高温になる場所にスタッドレスタイヤを保管すると、ゴムの劣化が加速します。できれば室内の冷暗所、無理なら専用のタイヤカバーをかけて保管しましょう。

タイヤチェーン装着の「実は知らない」正しいタイミング

「チェーンっていつ付ければいいの?」これは冬ドライバーの永遠の悩みです。結論から言うと、雪が降り始めたらすぐが正解です。多くの人が「道路に雪が積もってから」と考えていますが、それでは遅すぎます。

チェーン規制の標識が出てから装着しようとすると、すでに路面に雪が積もっているため、作業が非常に困難になります。冷たい雪の上で金属製のチェーンをいじるのは想像以上につらく、手がかじかんで思うように作業できません。実際、チェーン装着場所で1時間以上かかって諦める人を何度も見てきました。

理想的なタイミングは、雪が降る予報が出たら、自宅や駐車場など安全な場所で装着してから出発することです。少し面倒に感じるかもしれませんが、路上での装着作業の危険性と手間を考えれば、はるかに安全で効率的です。

チェーンの種類選びも重要です。金属チェーンは価格が安く耐久性がありますが、装着に慣れが必要で、走行時の振動や騒音が大きいのが難点です。一方、非金属チェーン(ウレタンやゴム製)は装着が簡単で、乗り心地も良好です。ただし、価格は金属チェーンの2〜3倍します。初心者には非金属チェーンがおすすめです。

最近増えているのが布製チェーン(スノーソックス)です。靴下のようにタイヤにかぶせるだけで装着でき、コンパクトに収納できます。緊急用としては便利ですが、耐久性が低く、長距離走行には向きません。あくまで「チェーン規制区間を通過するため」の一時的な対策と考えてください。

チェーン装着後の注意点として、最初の100メートルくらい走行したら必ず増し締めをすることを忘れないでください。走行によってチェーンが馴染むと緩むことがあり、そのまま走り続けるとチェーンが切れたり、タイヤハウスに当たって車を傷つけたりします。

複数台でスタックした場合の連携脱出テクニック

実は、一台だけでなく複数台が連鎖的にスタックするケースは非常に多いです。前の車がスタックして渋滞が発生すると、後続車も次々とスタックしてしまうのです。このような状況では、車同士の連携が脱出の鍵になります。

前後の車と声を掛け合って協力体制を作ることが第一歩です。日本人は知らない人に声をかけるのを躊躇しがちですが、雪国では助け合いが当たり前の文化です。「すみません、押していただけませんか?」と頼めば、ほとんどの人が快く協力してくれます。

複数台が連なってスタックしている場合、一番前の車から順番に脱出させるのが鉄則です。全員が一斉に動こうとすると混乱するだけで、誰も脱出できません。前の車が脱出してスペースができたら、その勢いで次の車も脱出しやすくなります。

他の車に押してもらう際の注意点として、押す人はボンネットやトランクを押すのではなく、ピラー(柱)部分を押すようにしてください。ボンネットやトランクは薄い鉄板なので、強く押すと凹んでしまいます。また、押す側の車のバンパーで押すのも危険です。両車のバンパーが破損する恐れがあります。

牽引ロープで引っ張ってもらう場合は、必ず牽引フックを使用してください。バンパーにロープを引っ掛けて引っ張ると、バンパーが外れてしまいます。牽引フックの位置は車種によって異なりますが、たいていフロントバンパーの下部にカバーされた穴があり、そこに車載工具の中にある牽引フックをねじ込んで使用します。

大型車(トラックや4WD)が近くにいれば、積極的に協力を依頼しましょう。車重が重い車両の方が、牽引力が高く確実に脱出できます。ただし、牽引ロープが切れた時の反動による事故には注意が必要です。ロープの近くには絶対に人を立たせないでください。

電波が届かない山間部でのサバイバル対策

山間部や過疎地では、携帯電話の電波が届かない場所が意外と多く存在します。2026年の大雪でも、電波が届かず救助要請ができずに一晩車内で過ごしたケースが報告されています。

電波が届かない場所でスタックした場合、まずは少しでも高い場所に移動して電波を探すことが重要です。車から数十メートル移動するだけで電波状況が改善することがあります。ただし、吹雪の中で車から離れるのは遭難のリスクがあるため、視界が確保できる範囲内での移動に限定してください。車と自分を紐で繋いでおくのも一つの方法です。

SOS発信に使えるのは携帯電話だけではありません。クラクションを断続的に鳴らすことで、近くにいる人や車に異常を知らせることができます。国際的なSOS信号は「短・短・短、長・長・長、短・短・短」(モールス信号のSOS)ですが、日本では単純に断続的に鳴らすだけでも効果があります。

車のハザードランプも重要なSOS信号です。夜間は特に、ハザードランプが遠くからでも目立ちます。バッテリーの消耗が心配な場合は、30分おきに5分間だけ点灯させるなど、間欠的に使用しましょう。

最近注目されているのが衛星通信機能付きのスマートフォンです。iPhone 14以降のモデルには緊急SOS機能が搭載されており、携帯電波が届かない場所でも衛星経由でSOS信号を送信できます。登山やウィンタースポーツが趣味の方は、このような機能を持つスマートフォンに買い替えることも検討してください。

食料と水の確保も重要です。電波が届かず救助が遅れる可能性を考えると、最低でも24時間分の非常食と水を常備しておくべきです。特に冬は、カロリーの高い食品(チョコレート、ナッツ、カロリーメイトなど)が体温維持に役立ちます。

実際によくある失敗例から学ぶスタック対処のNG行動

ここからは、実際に雪国で取材した際に目撃した、あるいは被害に遭った人から聞いた「やってはいけない行動」を紹介します。これらは教科書には載っていませんが、実体験に基づく貴重な教訓です。

失敗例1「もう少し頑張れば抜けられる」と思って無理をする

最も多い失敗がこれです。あと少しで脱出できそうに見えても、無理にアクセルを踏み続けると、タイヤが摩擦熱で雪を溶かし、余計に滑りやすくなります。ある40代の男性は、10分間アクセルを踏み続けた結果、タイヤがアスファルトまで掘り進んでしまい、逆に脱出困難になったと語っていました。2〜3回試して脱出できなければ、すぐに別の方法に切り替えるべきです。

失敗例2フロアマットを使ったら飛んでいって後続車にぶつかった

フロアマットをタイヤの下に敷く方法は効果的ですが、深く差し込まないと、アクセルを踏んだ瞬間に勢いよく後方に飛び出します。これが後続車のフロントガラスに当たって破損させた事例があります。フロアマットを使う場合は、できるだけタイヤの下深くまで押し込み、周囲に人がいないことを確認してから、ゆっくりとアクセルを踏んでください。

失敗例3エンジンをかけたまま仮眠して一酸化炭素中毒になりかけた

疲れてちょっと寝ようと思ってエンジンをかけたまま仮眠し、目が覚めたら激しい頭痛と吐き気に襲われたという50代男性の体験談は衝撃的でした。寝ている間に雪がマフラーを塞ぎ、一酸化炭素が車内に充満していたのです。幸い意識を失う前に目が覚めましたが、あと少し遅ければ命を落としていたでしょう。仮眠する際は必ずエンジンを切る、これが鉄則です。

失敗例4脱出後すぐに高速で走行してタイヤバースト

スタックから脱出した安心感から、すぐに通常速度で走行を再開したところ、数キロ走ったところでタイヤがバーストした事例があります。スタック時の無理な操作でタイヤにダメージが蓄積していたのです。脱出後は必ず低速で走行し、タイヤやブレーキの状態を確認してから通常走行に戻すべきです。

失敗例5スタック中にSNSに投稿していてバッテリーを消耗

若者に多いのがこのパターン。スタック中の様子をSNSに投稿したり、動画配信したりしていて、スマートフォンのバッテリーを消耗してしまい、いざ救助要請しようとしたときに電源が切れてしまったというケースです。緊急時はスマートフォンのバッテリーを温存することが最優先です。SNS投稿は安全な場所に着いてからにしましょう。

ぶっちゃけこうした方がいい!

ここまで専門的な対処法を解説してきましたが、正直に言うと、雪道のスタック対策で一番効果的なのは「そもそもスタックしない運転をすること」です。当たり前すぎて拍子抜けするかもしれませんが、これが真実です。

スタックから脱出するための道具を色々揃えるのも大切ですが、個人的には「大雪の日は出かけない」という選択肢を持つことが最強の対策だと思っています。2026年1月の大寒波でも、「仕事だから」「用事があるから」と無理して出かけた人の多くがトラブルに巻き込まれました。でも、冷静に考えてみてください。命に関わるリスクを冒してまで外出しなければならない用事って、本当にそんなにあるでしょうか?

もちろん、医療関係者や物流業者など、雪が降ろうが出勤しなければならない職業の方もいます。でも、多くのサラリーマンやOLの方は、リモートワークや有給休暇を活用すれば、大雪の日の外出を避けられるはずです。会社や取引先も、命の危険を冒してまで出社してほしいとは思っていないでしょう。

それでもどうしても出かけなければならない場合は、出発前に「最悪の事態」を想定した準備をすることです。スタックから脱出できなかった場合に一晩車内で過ごすことになっても大丈夫なように、毛布、食料、水、簡易トイレを必ず積んでおく。これだけで生存率は格段に上がります。

あと、これは意外と知られていないのですが、出発前にSNSで現地の道路状況をチェックするのが非常に有効です。Twitter(X)やInstagramで目的地周辺の投稿を検索すると、リアルタイムの雪の状況や渋滞情報が分かります。公式の道路情報より早く、詳細な現場の様子が把握できるので、これで「今日は行くのをやめよう」と判断できることも多いです。

スタックした時の脱出テクニックも大事ですが、それ以上に大切なのは「スタックしない判断力」です。道路状況が悪化してきたら、無理に目的地まで行こうとせず、途中の安全な場所で引き返す、あるいは一時避難する勇気を持ってください。「もう少し行けば」という考えが命取りになります。

最後に一つ、プロドライバーから聞いた極意を伝えます。「雪道で一番大切なのは、技術でも装備でもなく、『怖がる気持ち』だ」と。慢心して「自分は大丈夫」と思った瞬間が一番危ない。常に怖がって、慎重に、謙虚に雪道と向き合う。これが、何十年も雪道を走り続けてきたプロの答えです。

スタック対策の記事を書いておいて何ですが、結局のところ「大雪の日は車に乗らない」、どうしても乗るなら「最悪の事態に備える」、走行中は「常に怖がる」。この3つが、あなたの命を守る最も確実な方法です。

よくある質問

スタッドレスタイヤでもスタックするのですか?

はい、スタッドレスタイヤを装着していてもスタックは発生します。スタッドレスタイヤは雪道や氷上でのグリップ力を高めるために設計されていますが、新雪が深い場合や、急な坂道での再発進、タイヤの溝が浅くなっている場合などでは、スタックのリスクがあります。また、タイヤチェーンを併用することで、より確実な走破性を確保できます。特に大雪の際は、スタッドレスタイヤだけでは対処しきれない積雪になることもあるため、チェーンの準備も忘れないようにしましょう。

フロアマットを使った脱出方法は本当に効果がありますか?

フロアマットは緊急時の代用品として一定の効果があります。駆動輪と雪の間に深く差し込むことで、タイヤが雪を掴む力を増すことができます。ただし、専用の脱出用ラダーと比べると効果は限定的で、フロアマットが勢いよく飛び出したり、タイヤに巻き込まれたりするリスクもあります。使用する際は、周囲の安全を十分に確認し、アクセルを慎重に踏むことが重要です。より確実な脱出を目指すなら、やはり専用の脱出用ラダーを車に常備しておくことをおすすめします。

窓を開けておけば一酸化炭素中毒は防げますか?

窓を開けるだけでは十分ではありません。JAFの実験では、窓を5センチほど開けた状態でも、風が止むと約40分後には一酸化炭素濃度が危険レベルの800ppm台まで上昇することが確認されています。天候や周囲の状況によっては、少し窓を開けていても短時間で一酸化炭素濃度が上昇する可能性があります。一酸化炭素中毒を防ぐ最も確実な方法は、マフラー周辺を定期的に除雪することです。マフラー周辺を除雪した場合、車がボンネットまで雪に埋まっていても車内の一酸化炭素濃度はほとんど上がらないことが実証されています。

雪道での適切な車間距離はどのくらいですか?

雪道では通常の2〜3倍の車間距離を取ることが推奨されています。乾燥した路面と比較すると、凍結路面では制動距離が2倍以上に伸びることが多いため、十分な車間距離がないと追突の危険性が高まります。時速50キロで走行している場合、通常は50メートル程度の車間距離が適切ですが、雪道では100〜150メートル以上の車間距離を確保しましょう。また、前方の車両がスリップやスタックした場合にも対応できるよう、常に余裕を持った距離を保つことが重要です。

タイヤの空気圧を下げる方法のデメリットは何ですか?

タイヤの空気圧を下げると接地面積が増えてグリップ力が向上しますが、いくつかのデメリットがあります。空気圧が低い状態で走行を続けると、タイヤの側面が過度に変形して発熱し、タイヤの損傷やパンクのリスクが高まります。また、燃費の悪化や操縦安定性の低下も起こります。そのため、この方法を使った場合は、スタックから脱出した後、できるだけ早くガソリンスタンドやサービスエリアで空気圧を適正値に戻すことが必須です。緊急時の一時的な対処法として覚えておき、通常走行時は必ず適正空気圧を維持しましょう。

まとめ

2026年の記録的な大雪が示すように、雪道でのスタックは誰にでも起こりうるトラブルです。しかし、正しい知識と対処法を身につけておけば、多くの場合は自力で脱出できます。

最も重要なのは、焦らないこと。アクセルを強く踏み込むと状況は悪化するばかりです。まずは冷静に状況を把握し、振り子脱出法やタイヤ下への摩擦材の設置を試してみましょう。TCSやVSCをオフにすることも忘れずに。

そして何より警戒すべきなのが一酸化炭素中毒です。マフラーが雪で埋まると、わずか22分で命に関わる危険な状態になります。立ち往生したときは、何よりも先にマフラー周辺の除雪を最優先してください。窓を開けるだけでは不十分です。

日頃から脱出用ラダー、スコップ、毛布、使い捨てカイロなどのトラブル対策グッズを車に積んでおき、出発前にはガソリンを満タンにする習慣をつけましょう。そして、大雪が予想される日は、不要不急の外出を控える勇気も必要です。

雪道を安全に走り抜けるために、「焦らない」「急がない」「準備を怠らない」この3つの心構えを忘れずに、冬のドライブを楽しんでください。

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