冬の早朝、車中泊をしている時にフロントガラスが真っ白に凍っていて、視界が確保できずに慌てた経験はありませんか。特に車中泊ユーザーは駐車場や野外での駐車が多いため、フロントガラスの凍結は他の運転者以上に重大な問題です。「早く出発したい」と焦ってしまい、思わず熱湯をかけたり、氷を力ずくで削ったりしていませんか。その方法は実は車に深刻なダメージを与える危険な行為なのです。この記事では、車中泊での安全で正しいフロントガラス凍結対策と、やってはいけない行為を徹底解説します。知られざる対策方法や最新の凍結防止グッズの活用法まで、すべてお伝えします。
- フロントガラスの凍結は放射冷却現象が主な原因で、気温3~4度以下で最も発生しやすい
- 熱湯や強い衝撃はガラス破損を招くため、解氷スプレーやデフロスターが正解
- 車中泊特有の対策として凍結防止カバーと撥水コーティングの併用が最も効果的
車中泊で朝起きたらフロントガラスが凍結してしまう理由とは

車中泊のイメージ
フロントガラスが凍結する原因は放射冷却現象と呼ばれます。日中に太陽の熱で温められた地表や車は、夜になると蓄えた熱を上空に向かって放出します。この過程で地表付近の気温が急激に低下し、空気中の水蒸気が冷やされて霜となり、フロントガラスに付着することで氷の膜が形成されるのです。特に冬場は昼間でも気温が低いため、昼と夜の温度差がより顕著になり、凍結が発生しやすくなります。
車中泊の場合、一般の駐車場と異なり屋根や庇がない青空駐車が大半です。そのため放射冷却の影響をダイレクトに受けやすく、より凍結しやすい環境にあるといえます。さらに、車内の温かい空気が夜間に冷えることで、車内と外の温度差が生じ、内側からの結露も凍結を促進させます。これは車中泊ユーザーが特に注意すべきポイントです。
放射冷却が強まる条件は明確です。気温が0℃以下で、雲がなく晴天で、風が弱い夜間という三つの条件が揃った時に凍結リスクは最高潮に達します。気温5℃以下の予報が出ている日の朝は、フロントガラスの凍結を覚悟して対策を講じるべきです。
フロントガラスが凍った時に絶対やってはいけない5つの行為
熱湯をかけるのは厳禁!ガラスが割れる危険性
最もやってはいけない行為は熱湯をかけることです。一瞬で氷が溶けるように見えて魅力的に感じますが、これは非常に危険です。熱湯が冷たいフロントガラスに急激に加わると、ガラスの局部的な部分が急激に膨張します。その一方で、熱湯がかかっていない他の部分は冷たいままなので、膨張と収縮の圧力差に耐えられず、ガラスが割れてしまう可能性が極めて高いのです。
さらに問題なのは、フロントガラスには飛び石などの影響で目に見えない傷が既に入っていることがほとんどだという点です。その傷の部分から急速に亀裂が広がり、最悪の場合、フロントガラスを交換する羽目になります。冬の寒い環境では熱湯がすぐに冷めてしまい、溶けた氷が再凍結してしまうリスクもあります。
ワイパーを無理やり動かすと故障につながる
フロントガラスが凍った状態でワイパーを動かすのも危険です。氷に貼り付いたワイパーを無理に動かすと、ワイパーのゴム部分が剥がれたり、ブレードが変形してしまったりします。さらに、ワイパーが凍った氷を力ずくで押し付けることで、フロントガラス自体に傷が入る可能性もあります。一度傷が入ったガラスは視界が悪くなるだけでなく、運転中の安全性が著しく低下します。冬場は出発前にワイパーを立てておく習慣をつけると良いでしょう。
氷を叩いたり削ったりして割る行為
ハンマーやスクレーパーを使って氷を力ずくで割ろうとするのも避けべき行為です。特に金属製のスクレーパーはガラスの表面に傷をつけやすく、細かいヒビが入るとそこから急速に割れが広がります。フロントガラスは安全性を考慮して複層構造になっており、一度ヒビが入ると一気に割れ広がる特性を持っています。急いでいるからといって、無理に氷を削り落とそうとするのは最悪の選択肢です。
ウォッシャー液を出してワイパーを動かす
凍結したガラスにウォッシャー液を噴射してワイパーを動かすのも効果がありません。確かに一瞬、氷が柔らかくなったように見えますが、すぐに外の冷たい空気でウォッシャー液自体が再凍結してしまいます。その結果、さらに厚い氷膜が形成されて視界がより悪くなってしまいます。また、ワイパーを無理に動かすことで故障のリスクも高まります。
視界不良のまま走行開始する
最も危険なのは、フロントガラスが凍結した状態で走行を開始することです。視界が確保できていない状態で運転すると、前方が見えず大事故につながる可能性があります。疲労運転や居眠り運転と同じく、視界不良での運転は重大事故の原因となります。時間がなくても必ず解凍してから出発しましょう。
フロントガラスが凍った時の正しい対処方法3選
デフロスターを使った最も安全な解凍方法
フロントガラスが凍った時に最も推奨される方法はデフロスター機能を使用することです。エンジンをかけて暖房を最大に設定し、エアコンパネルにある扇型に温泉のような波線が描かれたボタン(デフロスターマーク)を押します。すると、エアコンから温度の高い乾燥した空気がフロントガラスに集中的に送られ、徐々に氷が溶けていきます。
この方法は時間がかかることが難点で、薄い霜なら5~10分、厚い氷なら15~20分程度必要になります。しかし、ガラスへのダメージが全くなく、最も安全です。出発予定時間より早めにエンジンをかけてスイッチを入れておくのがコツです。リアガラスも同時に凍結していることが多いので、リアデフォッガー機能(四角形に波線のボタン)も同時に押しておくと効率的です。
解氷スプレーで1分以内に解凍
時間がない時には解氷スプレーの使用がおすすめです。市販の解氷スプレーの主成分はアルコールで、凍結温度が水より圧倒的に低いという特性を活かしています。スプレーをフロントガラス全体に吹きかけると、アルコール成分によって氷の融点が下がり、みるみるうちに氷が溶けていきます。JAFの実験では、凍結したフロントガラスの氷を完全に解かすのにわずか1分程度で済むとされています。
解氷スプレーを使う時は、ワイパーを立てておいて、スプレー液がゴムにかからないようにすることが重要です。アルコール成分はゴムを劣化させる可能性があるためです。また、車の塗装部分にかからないよう注意が必要です。冬場は常に車内に1本備えておくと、いざという時に非常に便利です。
アルコール自作スプレーという選択肢
市販の解氷スプレーを持っていない場合、家庭用アルコール(消毒用アルコール)を使ってアルコール系溶液を自作する方法もあります。エタノールと水を2対1から3対1の比率で混ぜてスプレーボトルに入れれば、即席の解氷液ができます。ただし、火の気がない場所で作業を行い、使用後は付着したアルコールをしっかり拭き取ることが大切です。これは緊急時の裏技として覚えておくと役立ちます。
車中泊ユーザー必見!凍結を事前に防ぐ最強対策法
凍結防止シートが最も効果的
フロントガラスの凍結を完全に防止したいなら、専用の凍結防止シートをかけるのが最も確実です。JAFの実験では、カバーをかけた車はカバーをかけていない車と比べて、凍結が全く発生しなかったという結果が出ています。車中泊の際は特に、夜間にフロントガラス全面を凍結防止シートで覆うだけで、翌朝はカバーを外すだけで即出発できます。
凍結防止シートには複数の固定方法があります。磁石で固定するタイプ、ひもで結ぶタイプ、ドアに挟むタイプなど、車の種類や好みに応じて選べます。風で飛ばされないようしっかり固定することが重要です。また、夏場はサンシェードとしても使える製品も多く、オールシーズン活躍するアイテムです。
撥水コーティング剤の塗布
事前対策として、フロントガラスに撥水コーティング剤を塗っておくのも効果的です。水滴を弾く撥水剤を塗ることで、水蒸気がガラス表面に付着しにくくなり、結果として凍結を防ぎやすくなります。撥水剤には「シリコン系」と「フッ素樹脂系」の二種類があります。シリコン系はコスパに優れ、フッ素系は効果が長持ちするという特徴があります。
撥水剤を塗布する前に、必ずガラスを綺麗に洗浄し、油膜を取り除いておくことが重要です。特にガラスに付着した油膜は凍結を促進させてしまうため、専用の油膜除去剤やウォッシャー液を使ってしっかり落としておきましょう。
100均アイテムで手軽に対策
予算がない場合は、100円ショップで手に入るアルミシートやプチプチ(気泡緩衝材)でも凍結防止効果があることが分かっています。フロントガラス全体を覆うようにアルミシートを貼り、ドアやワイパーで固定すれば、霜が降りるのを防げます。プチプチも同じ原理で、気泡の断熱効果によって凍結を防ぎます。こまめなコストをかけたくない車中泊ユーザーには非常に現実的な対策です。
駐車位置の工夫
駐車方法を工夫することも凍結防止につながります。可能であれば、屋根や庇のある駐車場を選ぶことが理想的です。屋根があれば霜が直接降りることを防げます。屋根がない場合は、フロントガラスを建物や塀に向けて駐車することで、水蒸気の付着を多少は減らせます。また、朝日が当たる東側に向けて駐車すれば、太陽光による自然解凍が期待できます。
車中泊初心者が見落とす内側からの凍結対策

車中泊のイメージ
フロントガラスの凍結を語る際、ほとんどの記事は外側からのアプローチばかりを強調します。しかし車中泊の現実は外側だけでなく、内側からの凍結が同じくらい深刻だという事実を知っていますか。実は、朝起きてみたらフロントガラスの内側が真っ白に曇っていたり、薄い氷が張っていたりすることが頻繁に起こるのです。
車中泊では人間が車内にいるため、呼吸や皮膚からの水分蒸発によって車内の湿度が急激に上がります。就寝前は温かい暖房で車内を温めますが、就寝中はエンジンを切るため、徐々に車内の温度が低下していきます。この時、温かく湿った空気が冷えたフロントガラスに接触すると結露が発生し、気温がさらに低下すると結露が凍ってしまうのです。
内側の凍結を防ぐには、就寝前の準備が極めて重要です。具体的には、寝る直前にドアと窓を少し開けて、車内の湿った暖かい空気を外に逃してください。ほんの30秒から1分間でも構いません。この時、外気温と車内温度の差を少しでも縮めることが目的です。その後、ドアを閉める際に、フロントガラスを乾いたタオルで念入りに拭いておくと非常に効果的です。
さらに詳しく説明すると、フロントガラスに付着した水分、ホコリ、砂などの汚れは、水が凍る氷点(0℃)よりも高い温度から凍結させてしまう性質を持っています。つまり、綺麗なガラスなら0℃で凍るはずの水が、汚れがあると2~3℃程度で凍り始めてしまうのです。したがって、旅行出発前にフロントガラスを丁寧に洗浄し、油膜を完全に除去しておくことが、車中泊での凍結防止において最も基本的で重要な準備作業となります。
車内の湿度を管理するもう一つの方法として、活性炭シートや除湿剤を常備しておくのも現実的な対策です。これらは100円ショップでも手に入り、就寝中に車内の余分な湿気を吸収してくれます。
複数泊車中泊での現実的な凍結防止戦略
1泊だけの車中泊と複数泊の車中泊では、凍結防止対策のアプローチが大きく異なります。1泊なら徹底した準備が可能ですが、複数泊になると毎晩同じレベルの対策を継続することは現実的ではないという課題が生じます。
複数泊の車中泊では、初日の夜が最も凍結しやすい傾向があります。これは、新しい環境での車内の湿度管理がまだ適応していないためです。初日はできるだけ完全な対策(凍結防止シートの装着、ガラス清掃、除湿剤配置など)を施してから就寝することをお勧めします。
2日目以降は、前夜の経験を踏まえて対策を調整します。例えば、初日に結露がほとんど発生しなかったなら、2日目はシートを使わずに除湿剤だけで対応するなど、臨機応変に対応できます。ただし天気予報には常に目を光らせ、気温がさらに低下する予報が出ていれば、対策を強化する必要があります。
複数泊での重要な工夫は「朝のルーティン化」です。毎朝、起床直後に必ずデフロスターをつけ、その間に朝食やトイレを済ませるというルーティンを確立すると、時間的ロスを最小化できます。解氷スプレーは、毎晩の対策が十分だった時のバックアップとして車内に置いておき、実際には使わないことを目指します。
また、複数泊の場合、同じ駐車場に連泊することが多いですが、その場合は駐車位置を工夫してください。初日に朝日が当たらない北側に停めたなら、2日目以降は東側に移動することで、朝の自然解凍を活用できます。
朝の時間を奪わない解凍テクニック
車中泊ユーザーの最大の悩みは「朝の限られた時間の中で解凍しなければいけない」というプレッシャーです。デフロスターを使えば安全ですが時間がかかり、解氷スプレーは効果的だけど常備していない場合もあります。そこで重要なのが「複合解凍法」という現実的なテクニックです。
具体的には、エンジンをかけてデフロスターをつけると同時に、ワイパーを立てておきます。その間に顔を洗ったり朝食を食べたりします。デフロスターが5分程度作動した時点で、外に出てスクレーパー(プラスチック製の柔らかいもの)を使い、ガラスの端から中央に向かって優しく氷を削ります。この時点で氷がある程度柔らかくなっているため、力を入れずに除去できます。
このプロセスは合計10~15分で視界が確保できるレベルに達します。デフロスターだけで20分待つよりも、心理的にも時間的にも効率的です。
さらに時間を短縮したい場合は、事前にスプレーボトルに自作アルコール液を用意しておくことです。出発予定時間の15分前に起床し、まずスプレーをかけて1分待ち、その間にデフロスターをつけます。その後、スクレーパーで仕上げるという流れなら、5~8分で完全に解凍できます。
重要なのは、慌てずに「段階的に」対応することです。一気に解凍しようとするから焦るのであって、最初の5分で80%解凍し、最後の2~3分で完全解凍するという心持ちが大切です。
ドアやハンドルまで凍る!全身凍結への対応法
フロントガラスの凍結だけを対策して満足していませんか。実は、車中泊の現場ではドアが凍結して開かなくなるという深刻なトラブルが頻繁に発生します。これはフロントガラスの凍結よりも厄介で、強く引くとドアのゴムパッキンが破損してしまう危険性があります。
JAFのテストでは、ドアが凍結していない場合は約5キログラムの力で開けられるのに対し、凍結している場合は20キログラム以上の力が必要になることが明らかになっています。つまり、無理にドアを開けようとすると、ドア自体の損傷や、ゴムパッキンの剥離につながるのです。
ドアの凍結を防ぐには、就寝前にドアの隙間に付着した水分を念入りに拭き取ることが最も重要です。特に雨の日に走行した直後に駐車する場合や、積雪地で雪が車体に付着している場合は注意が必要です。隙間の水分が凍ると、ドア枠と車体が一体化してしまうのです。
もしドアが凍結してしまった場合の対処法としては、解氷スプレーをドアの周辺に吹きかけ、10~15分待ってからゆっくり開けるという方法があります。この時、勢いよく引くのではなく、スプレーが浸透するまで待つことが鍵です。急いでいると焦ってドアを壊してしまうので、時間に余裕を持たなければいけません。
ハンドルの凍結も車中泊では珍しくありません。この場合も同じく、解氷スプレーを使うか、ぬるま湯をビニール袋に入れてハンドルに押し当てるという方法が有効です。タオルで覆うと効果がさらに高まります。
後部ガラスも同じく凍結します。バックミラーやリアガラスの視界が悪くなると、走行時の安全性が著しく低下します。デフロスターの「リアデフォッガー」機能を使用することは既に説明しましたが、フロント同様に凍結防止シートをリアガラスにもかけておくことが理想的です。
予算と効果のバランスで選ぶ対策グッズ徹底比較
車中泊での凍結防止グッズは、驚くほど多くの選択肢があります。安いものから高いものまで様々ですが、本当に必要なものを見極めることが重要です。
| 対策方法 | 初期投資 | 効果の高さ | 手間 | 車中泊向け度 |
|---|---|---|---|---|
| 凍結防止シート(専用品) | 3,000~8,000円 | ★★★★★ | 毎晩3分 | ★★★★★ |
| 撥水コーティング剤 | 1,000~3,000円 | ★★★☆☆ | 月1回 | ★★★☆☆ |
| 解氷スプレー | 500~1,000円 | ★★★★☆ | 朝5分 | ★★★★☆ |
| 100均アルミシート | 100円 | ★★★☆☆ | 毎晩5分 | ★★★☆☆ |
| 毛布・バスタオル | 0円(自宅から持参) | ★★☆☆☆ | 毎晩10分 | ★★☆☆☆ |
| 除湿剤・活性炭 | 500~1,000円 | ★★☆☆☆ | 毎晩0分 | ★★★☆☆ |
この表から分かるのは、凍結防止シートが圧倒的に効果的である一方、予算が限られている場合は解氷スプレー+除湿剤の組み合わせが実用的だという点です。
実際のところ、頻繁に車中泊をするなら凍結防止シート(3,000~5,000円程度の質の良いもの)に投資することは、長期的には最も経済的です。毎回買い直す必要がなく、数年使用できるためです。一方、年に数回の車中泊程度なら、解氷スプレーと除湿剤で十分です。
購入時に見落としてはいけないポイントとして、凍結防止シートを選ぶ際は、必ず自分の車のフロントガラスサイズを測定することが重要です。サイズが小さいと効果が半減し、逆に大きすぎるとワイパーに引っかかる可能性があります。
デフロスター長時間使用時の隠れた落とし穴
デフロスターは最も安全で確実な解凍方法ですが、長時間の使用にはいくつかの落とし穴があることを多くの人が知りません。
最も重要な問題はバッテリー消費です。デフロスターを使用中は、暖房とエアコンコンプレッサーが同時に稼働するため、電力消費が極めて大きくなります。朝10~15分程度なら問題ありませんが、毎朝20分以上使用していると、冬場はバッテリーが劣化しやすくなります。特に複数泊での車中泊では注意が必要です。
もう一つの問題はエンジンへの負荷です。冬場、冷え込んだエンジンをいきなりフル稼働させると、エンジンオイルの流動性が低いため、エンジンに予想以上の負荷がかかります。デフロスターを使う場合は、最初の1~2分は低い風量に設定し、エンジンが温まるのを待ってから風量を最大にするという工夫が有効です。
さらに細かい話ですが、デフロスターを使う際に内気循環モードに設定することも重要です。外気導入モードでは、冷たい外気がフロントガラスに吹きつけられ、逆に温度差が大きくなってしまいます。デフロスターは「内気循環」で作動させることで、初めて効率的に機能します。
極度に冷え込んだ朝(気温が-10℃以下)では、デフロスターだけでは完全解凍に20分以上かかる場合があります。この場合は解氷スプレーとの併用が現実的です。
寝ている間にできる凍結防止の工夫
「朝対応するのではなく、夜のうちに対策しておく」という発想の転換が、車中泊での凍結問題を根本的に解決します。
就寝直前のルーティンとして、以下を実行してください。まず、エンジンを切る30分前に暖房を切ります。これにより、急激な温度低下を防ぎ、その後の温度変化を緩和させます。次に、寝る直前に窓を5センチ程度開けて(防犯上は注意が必要ですが)、車内の湿った暖かい空気を外に逃します。その直後、フロントガラスを乾いたタオルで力を入れずに優しく拭きます。
この時、内側と外側の両方を拭くことが重要です。外側は、可能であれば寝る直前に凍結防止シートをかけます。内側は、湿気が再び付着しないように、吹き終わった後に窓をしっかり閉めます。
もう一つの工夫として、就寝時に除湿剤を複数個配置することがあります。フロントガラスの下、左右のドア付近に除湿剤を置くと、夜中の湿度上昇を効果的に抑制できます。これは全く手間がかからず、朝になれば除湿剤を片付けるだけで完了です。
さらに細かい工夫として、就寝中に寝袋の上にタオルを置き、布団から出る湿気を吸収させるという方法もあります。また、できれば就寝中も少し換気を続けることが理想的ですが、防犯上の懸念から難しい場合も多いでしょう。
実際の現場で頻繁に起きる失敗事例と教訓
車中泊の経験者から聞かれる失敗事例には、本記事の知識で防げるものが数多くあります。
失敗例1凍結防止シートをかけたのに朝も凍結していた
原因は、シートの隙間から霜が降りていたというケースです。教訓として、シートは「完全に隙間なく固定する」ことが絶対条件です。また、シートの内側に結露が生じ、その水分が凍ることもあります。対策として、シートの内側に除湿剤を挿入するか、シートの下に通気性の良い布を敷くという工夫が有効です。
失敗例2解氷スプレーを多用したらワイパーが痛んでしまった
これは、解氷スプレーのアルコール成分がワイパーのゴムに付着し、劣化を加速させてしまったケースです。解氷スプレーを使う際は、必ずワイパーを立てておき、使用後はガラスをしっかり拭き上げることが重要です。
失敗例3毎朝デフロスターを20分以上使用していたらバッテリーが上がった
冬場に毎日長時間デフロスターを使用すると、バッテリーの充放電サイクルが加速し、寿命が短くなります。対策として、解氷スプレーとの組み合わせで時間を短縮することが推奨されます。
失敗例4熱湯をかけてしまい、ガラスが割れた
これは本記事でも強調していますが、焦りから行ってしまう行為です。教訓として、朝の準備時間に余裕を持つことが最も重要です。
ぶっちゃけこうした方がいい!
ここまで様々な対策方法を紹介してきましたが、正直に言うと、最も効果的で現実的な対策は「凍結防止シートを使用する」と「就寝前に窓を少し開けて湿度を管理する」この二つだけです。
多くの人は複雑な対策ばかりを考えがちですが、実際のところ、凍結防止シートで外からの霜の付着を完全に遮断し、就寝前に短時間でも窓を開けて湿度を下げるだけで、朝のトラブルの90%は解決します。解氷スプレーは「万が一の時」のバックアップであって、メイン対策ではないのです。
予算の都合で凍結防止シートが買えない場合は、100均のアルミシートで代用できますし、毛布だってグッズの代わりになります。大切なのは「毎晩同じことを繰り返す」という習慣化です。朝起きて慌てるのではなく、夜のうちに準備を完璧に済ませておくという心持ちが、車中泊での凍結問題をストレスのない状態に変えます。
また、デフロスターについては、「完全に溶かそう」という完璧主義を手放すことも大切です。朝5分デフロスターをつけて、その間に身支度を整え、その後スクレーパーで仕上げる。この流れなら、朝のストレスは最小限に抑えられます。
最後に、最も重要な教訓として、「季節が変わる前に準備する」という先手必勝の考え方が大切です。気温が下がってから慌てて対策を始めるのではなく、10月中に凍結防止シートや撥水剤を購入し、フロントガラスを徹底的に洗浄しておく。この準備一つで、冬全体の車中泊の快適さが大きく変わります。
結局のところ、車中泊でのフロントガラス凍結は「運」ではなく「準備」で決まるのです。
よくある質問
ぬるいお湯なら凍結したフロントガラスにかけても大丈夫ですか?
いいえ、ぬるいお湯でも避けるべきです。温度差がある限り、ガラスの膨張と収縮が起こり、割れるリスクがあります。特に既に傷が入っているガラスの場合、ぬるいお湯でも割れる可能性があります。常温の水さえも控えた方が安全です。
解氷スプレーがない時はどうすれば良いですか?
デフロスターを使うのが最善です。時間はかかりますが、最も安全な方法です。また、ビニール袋にぬるいお湯を入れて、凍結したガラスに押し当てながら滑らせるという方法もあります。この方法なら温度差を最小限に抑えられます。家庭用アルコールがあれば、自作解氷液を作るのも一案です。
車中泊の時、フロントガラスの内側が曇ってしまうのはなぜですか?
車内と外の温度差が大きく、車内の湿度が高いためです。車中泊では人が体温で車内を温め、呼吸や汗で湿度が上がります。就寝前に窓を少し開けたり、エアコンを控えめにしたりして、温度差を減らすことが有効です。ガラスの内側に撥水剤を塗っておくのも効果的です。
凍結防止カバーを持っていない場合、毛布で代用できますか?
可能ですが、フロントガラスのみに使用してください。車全体を覆うと、停車後のエンジンの熱で水蒸気が発生し、その水蒸気がフロントガラスに付着して、かえって凍結を促進してしまいます。毛布やバスタオルをかぶせる場合は、ひもでしっかり固定し、風で飛ばされないようにしましょう。
まとめ
車中泊でフロントガラスが凍るのは、放射冷却による避けられない現象です。しかし、正しい知識と対策があれば、この問題は完全に管理できます。最も重要なのは「やってはいけない行為を知ること」です。熱湯をかけたり、氷を力ずくで削ったり、凍結した状態で走行を開始したりするのは、修復不可能なダメージをもたらします。
正しい解凍方法は、デフロスターか解氷スプレーです。時間に余裕があればデフロスターで安全に、急いでいれば解氷スプレーで素早く対応できます。そして何より大切なのは、事前対策に力を入れることです。凍結防止シートや撥水コーティングを使い、凍結を未然に防ぐことが、車中泊ライフを快適にする最善の方法です。
予算が限られている場合でも、100均のアルミシートやプチプチで対応可能です。今冬は、この記事で紹介した対策を実践して、朝の凍結トラブルから解放される車中泊ライフを実現してください。焦らず、正しい方法で対応することで、フロントガラスの凍結は怖い問題ではなくなります。


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