「車中泊を何度かやったことがあるから大丈夫」と思っていませんか?実は、経験者こそ見落としがちな落とし穴があるのです。2016年の熊本地震では車中泊避難者が急増し、エコノミークラス症候群による死亡事故も発生しました。2026年1月に開催された東京オートサロン2026では、三菱「デリカミニ ACTIVE CAMPER」や日産「エクストレイル ROCK CREEK マルチベッド」など、車中泊に特化した車両が続々と発表され、車中泊人気はますます高まっています。しかし、その裏で知識不足による事故やトラブルも増加しているのが現実です。
- エコノミークラス症候群や一酸化炭素中毒など命に関わるリスクの正しい予防法
- 電源確保から寝床づくりまで快適性を劇的に向上させる実践テクニック
- 道の駅とRVパークの違いや最新マナーなど知らないと恥をかく基礎知識
車中泊経験者が陥りやすい致命的な思い込みとは

車中泊のイメージ
車中泊を何度か経験すると、「自分はもう慣れている」という油断が生まれます。しかし、この慢心こそが最も危険なのです。実際に2年半以上ヨーロッパをキャンピングカーで周遊した経験者でさえ、「出発前には想像もしなかった問題に次々と直面した」と語っています。
特に問題となるのが電力不足です。リモートワークをしながら旅をする場合、パソコンやスマートフォンの充電に加え、衛星アンテナなどの通信機器も電力を消費します。晴天の多い夏は問題なくても、冬や悪天候が続く日はソーラーパネルがほとんど機能せず、仕事に支障をきたすこともあるのです。
また、移動中の振動による家具や装備の故障、防犯やセキュリティ面での不安など、短期間の車中泊では気づきにくい問題も多く存在します。経験を重ねることで初めて「本当に必要な装備」が見えてくるものであり、最初から完璧な準備をすることは誰にも不可能なのです。
命に関わるエコノミークラス症候群の正しい予防法
エコノミークラス症候群は、正式には「静脈血栓塞栓症」と呼ばれる病気です。長時間同じ姿勢を維持することで下肢の血流が滞り、静脈内に血栓が形成されます。この血栓が血流に乗って肺の血管に到達すると「肺塞栓症」という危険な状態を引き起こし、最悪の場合は死に至ることさえあります。
フルフラットな寝床づくりが最重要
車中泊の専門家が口をそろえて強調するのが「人は水平じゃないと絶対に安眠できない」という事実です。足を下げた状態で長時間寝ることは、血流が滞りやすくなり、エコノミークラス症候群のリスクを大幅に高めます。
シートを倒しただけでは凹凸が残るため、タオルや衣類を使って段差を埋めることが重要です。さらに、8cm程度の厚みがあるインフレータブルマットを敷けば、段差解消効果が高まり快適な睡眠が得られます。どうしてもフラットにできない場合は、足元にリュックや荷物を置いて足を心臓と同じ高さまで上げることで、血流の滞りを防ぐことができます。
水分補給とこまめな運動を習慣化する
トイレの心配から水分を控える人がいますが、これは非常に危険な行為です。血液がドロドロになるとエコノミークラス症候群のリスクが高まるため、1〜2時間おきにコップ一杯程度の水をこまめに飲むことが効果的です。利尿作用のあるアルコールやカフェインの多い飲み物は避け、水やお茶を選びましょう。
また、1時間に一度は車から出て軽く歩いたり、屈伸運動をしたりするのが理想です。車内にいる時でも、ふくらはぎのマッサージやつま先の上下運動を行うことで血行を促進できます。医療用の着圧ストッキングも予防効果が高く、かさばらないので車に常備しておくとよいでしょう。
一酸化炭素中毒という見えない恐怖
冬場の車中泊で絶対に避けなければならないのが、エンジンをかけっぱなしで寝ることです。特に積雪がある地域では、マフラーが雪で埋もれると排気ガスが車内に逆流し、一酸化炭素中毒を引き起こします。一酸化炭素は無色無臭のため、気づいた時には手遅れになることも珍しくありません。
暖房が使えない状況では、重ね着をした上で厚手の寝袋に入り、カイロや湯たんぽを活用することで十分に乗り越えられます。ポータブル電源があれば電気毛布も使用でき、エンジンを切った状態でも快適に過ごすことが可能です。
電源確保の最新事情と賢い選び方
車中泊において電源の確保は年々重要性を増しています。スマートフォンの充電だけでなく、ポータブル冷蔵庫や電気ケトル、冷暖房機器まで、快適な車中泊には電気が欠かせない時代になりました。
ポータブル電源とサブバッテリーの使い分け
週末などの短期間の車中泊なら、ポータブル電源がおすすめです。充電器・バッテリー・インバーターが一体化しており、届いたその瞬間から使えるのが最大の魅力です。300Wh程度の容量があれば、1〜2泊のキャンプや車中泊でスマートフォンの充電や扇風機の使用に困ることはありません。
一方、長期の旅行やバンライフを楽しむ方には、車載のサブバッテリーシステムがおすすめです。走行充電やソーラー充電が可能で、外部電源がなくても大きな発電量を確保できます。最近ではリン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LiFePO4)が主流となっており、従来の鉛バッテリーと比べて軽量で長寿命、深放電にも強いという特徴があります。充放電サイクルが3000回以上と非常に多く、10年近く使えるという長寿命も魅力です。
ソーラーパネルの活用で電力不足を解消
車載ソーラーパネルだけでは曇りや雨の日に発電量が不足しがちです。そこで有効なのが折りたたみ式のソーラーパネルです。持ち運び可能で、太陽の向きに合わせて自由に移動でき、角度や位置を調整することで限られた日差しも効率よくキャッチできます。
また、どれだけ高性能なソーラーパネルや大容量バッテリーを積んでいても、太陽が出ない日はどうしようもありません。長旅を続けるなら、発電機を一台持っておくことで天候に左右されない電力確保が可能になります。
快適な寝床づくりの具体的テクニック
車中泊の快適さを左右するのは、何といっても寝床の質です。単にシートを倒すだけでは、凹凸や段差で安眠できないことがほとんどです。
自分のクルマのシートアレンジを把握する
意外と多くのオーナーが、自分の車のすべてのシートアレンジを把握していません。一度、取扱説明書を確認し、どのような組み合わせでフルフラットに近い状態が作れるか試してみましょう。車中泊の専門家は「フルフラット=そのまま快眠が得られる、と思わないほうがいい」と警告しています。実際に寝てみると、シートの座面と背もたれに段差があったり、硬い樹脂パーツの凹凸があったりして、そのままでは快適な睡眠がとりづらいことが多いのです。
目隠しは安眠とプライバシー確保の必需品
車外からの視線を遮ることは、心理的な安心感を得るために非常に重要です。目隠しには市販のサンシェードやカーテンが便利ですが、タオルや毛布をパワーウィンドウに挟んだり、洗濯ひもに掛けて簡易カーテンにしたりする方法もあります。目隠しは朝方の日差しよけや、断熱・防寒の効果もあるため、どの季節でも用意しておきたいアイテムです。
道の駅とRVパークの決定的な違い
車中泊をする場所選びは、快適さだけでなくマナーの観点からも重要です。多くの人が誤解していますが、道の駅は宿泊施設ではなく休憩のための公共施設です。国土交通省も「駐車場など公共空間で宿泊目的の利用はご遠慮いただいています」と明言しています。
RVパークのメリットと活用法
RVパークは日本RV協会が認定する車中泊専用の有料施設です。電源設備やゴミ処理、水道などが整備されており、気兼ねなく快適に過ごせます。料金は1泊1,000〜3,000円程度が相場で、長期間の滞在も可能です。道の駅に併設されているRVパークも増えており、道の駅の充実した施設を利用しながら、宿泊はRVパークでという使い方がおすすめです。
公共駐車場でのマナー10ヶ条
日本RV協会は公共駐車場におけるマナー遵守を呼びかけています。長時間にわたる駐車場の占拠、テーブルやイスを出してのキャンプ行為、ゴミの不法投棄、アイドリングによる騒音や排気ガスの放出など、これらは明確なマナー違反です。車中泊の文化を守るためにも、一人ひとりが責任ある行動を心がけることが大切です。
季節別の注意点と対策
夏場の暑さと虫への対策
夏場の車中泊で最も気をつけたいのが熱中症です。締め切った車内は想像以上に高温になるため、網戸や防虫ネットを使って換気を確保しつつ、ポータブルクーラーや扇風機を活用しましょう。湿度を取り除くだけでもかなり違うため、除湿剤を車内に置いておくことも効果的です。
また、移動できるクルマならではのテクニックとして、30分ほど走って標高の高いところへ移動するという方法があります。標高が100m上がれば気温は約0.6℃下がるため、山間の展望台の駐車場などを利用すれば、より快適に過ごせます。
冬場の寒さと積雪への備え
冬場は重ね着と高性能な寝袋、カイロや湯たんぽで寒さを乗り切れますが、雪や凍結によるトラブルには特に注意が必要です。朝起きたらクルマが雪に囲まれて身動きが取れなくなったり、夜中にトイレに行こうと外に出たら地面が凍っていて転倒したりする事故が実際に報告されています。
積雪地域ではスコップを必ず車に積んでおき、マフラー周辺の除雪をこまめに行いましょう。寒さが厳しすぎる場合は無理をせず、建物の避難所を利用することも選択肢に入れてください。
防犯対策で安心な車中泊を
車中泊中は外部からの侵入リスクを完全にゼロにすることはできません。特に女性の単身者は防犯上の不安があるため、対策をしっかりと行う必要があります。
ダブルロックの追加設置は、就寝中や車を離れるときの安心感を大きく高めます。また、いかにも若い女性が好みそうな車種やカラーの中で車中泊をする場合は、男性と一緒にいる雰囲気を演出することも有効です。男性ものの下着や靴下を干す、男性用のバッグを見える場所に置くなどの工夫が推奨されています。
貴重品は見える場所に置かない、必ず施錠してから寝る、旅行場所をリアルタイムでSNSにアップしないなど、基本的な防犯意識を持つことが大切です。
初心者が絶対に聞けない「車中泊あるある」の本音と解決策

車中泊のイメージ
車中泊の情報を調べると、どうしても「こうすれば快適」という理想論ばかりが目につく。だが実際にやってみると、「え、こんなこと誰も教えてくれなかったぞ」という場面に何度も遭遇するのが現実だ。経験者なら誰もが一度は直面する、けれど恥ずかしくて聞けない問題の本音と解決策を、体験ベースで赤裸々に語っていこう。
「夜中にトイレ行きたくなったらどうするの?」問題
車中泊で最も多い悩みがこれだ。特に冬場は冷えでトイレが近くなり、夜中に何度も起きるハメになる。道の駅やRVパークならトイレがあるが、真冬の深夜2時に暖かい寝袋から出て、凍てつく外気の中トイレまで歩くのは想像以上にキツい。
現実的な解決策として、経験者の多くが採用しているのが携帯トイレの常備だ。「恥ずかしい」という気持ちはわかるが、100均で手に入る携帯トイレを車内に2〜3個置いておくだけで、精神的な安心感がまるで違う。実際に使う機会がなくても、「いざとなれば使える」という安心感があるだけで、夜中のトイレを気にせず水分補給できる。前述したエコノミークラス症候群予防のためにも、水分を控えるのは絶対にNGだ。
女性や家族連れには、組み立て式の簡易トイレも検討してほしい。座って使えるタイプなら自宅のトイレに近い感覚で使え、心理的ハードルが下がる。目隠し用のポンチョが付属している製品もあるので、プライバシーも確保できる。災害時の備えとしても役立つので、投資として考えれば決して高い買い物ではない。
「結露でビショビショ、朝起きたら水滴だらけ」問題
車中泊を始めたばかりの人がまず驚くのが、朝起きたときの車内の結露のひどさだ。窓ガラスだけでなく、天井や壁まで水滴でびっしょり。「えっ、雨漏り!?」と焦った経験がある人も多いはず。これは車内の空気中に含まれる水蒸気が、冷えた窓ガラスに触れて水滴になる現象。人間は一晩でコップ1杯分の汗をかくと言われており、呼吸からも水蒸気が出るため、狭い車内ではあっという間に湿度が上がる。
結露を放置するとカビの発生という深刻な問題に発展する。シートの奥やゴムパッキンにカビが生えると、除去が非常に困難で、車内が常にカビ臭くなる。エアコンのフィルターにカビが発生すれば、夏場にエアコンをつけるたびにカビの胞子を吸い込むことになり、健康被害にもつながりかねない。
体験ベースで効果があった対策を挙げると、まず就寝前に運転席と助手席の窓を2〜3cm開けておくこと。「寒くないの?」と思うかもしれないが、就寝スペースとの間にカーテンを1枚垂らせば、冷気が直接流れ込むのをある程度防げる。完璧ではないが、朝の結露の量が驚くほど違う。
また、繰り返し使える除湿剤を車内の数カ所に置いておくのも効果的だ。特にベッド下や荷室など、通気性の悪い場所に置くといい。シリカゲルタイプなら付属の乾燥機で30分ほど加熱すれば何度でも使えるので、コストパフォーマンスも高い。寝具の下に敷く除湿シートは、90×180cmの大判サイズで就寝中の汗をしっかり吸収してくれる。センサーの色が変わったら天日干しするだけで効果が復活する。
「荷物が多すぎて寝るスペースがない」問題
車中泊を始めると、あれもこれもと装備を揃えたくなる。ポータブル電源、クーラーボックス、調理器具、寝具、着替え…気づけば車内は荷物でパンパン。「あれ?どこで寝るんだっけ?」という本末転倒な状況に陥る人は少なくない。
収納の鉄則は「縦の空間を使う」ことだ。床面積は限られているが、天井までの空間は意外と活用されていない。天井ネットを取り付ければ、タオルや軽い衣類を収納できる。ヘッドレストにS字フックをかけてバッグを吊るす、サイドポケットを活用するなど、壁面収納を意識するだけで床の広さは劇的に変わる。
もう一つの鉄則は「兼用化」だ。例えば、大型クッションは座っているときの背もたれにも、寝るときの枕にもなる。圧縮袋を使えば、衣類は1/3程度のサイズになる。1日分の服を1つの圧縮袋に入れておけば、温泉に行くときにその袋ごと持っていけばいい。脱いだ服も別の圧縮袋に入れれば、かさばらずに保管できる。
そして意外と見落とされがちなのが「そもそも持っていかない」という選択だ。スマホの充電は走行中にシガーソケットで済ませれば、大容量のモバイルバッテリーは不要。保存のきく食品だけにすれば、大きなクーラーボックスも必要ない。「念のため」で持っていくものを見直すだけで、荷物は半分近くに減らせることも多い。
経験者も見落とす「駐車位置の選び方」で快眠度が激変する
同じ道の駅やRVパークでも、どこに車を停めるかで車中泊の快適度は大きく変わる。これは経験を積まないとわからない、けれど知っているだけで差がつくポイントだ。
トラックゾーンから離れろ
道の駅やSA・PAには、大型トラックが仮眠をとるエリアがある。トラックはエンジンをかけっぱなしにしていることが多く、その振動と排気ガスは快眠の大敵だ。音はそこまで大きくなくても、低音の振動が車体に伝わり、体全体が細かく揺れる。この振動は耳栓では防げない。
駐車場に着いたら、まず大型車エリアがどこかを確認しよう。建物側や、隣に垣根があるような場所は比較的トラックが来にくい。最近は普通車とトラックの駐車エリアが完全に分離されている施設も増えているので、そういった場所を優先的に選ぶといい。
東向きに停めると朝が楽
車を東向きに停めると、朝日がフロントガラスから差し込む。するとフロントガラスの結露が早く乾くので、出発前の拭き取り作業が格段に楽になる。また、自然光で目が覚めるので、アラームに頼らず気持ちよく起きられる。逆に西向きだと、朝日がリアから差すため、就寝スペースがまぶしくて早く起こされることもある。
傾斜は要チェック
駐車場には水はけのために微妙な傾斜がついていることが多い。この傾斜を軽視すると、一晩中体が一方向にズレ続けるという地獄を味わうことになる。頭を高い方に向けて寝るのが基本だが、傾斜がきつすぎる場所はそもそも避けるべきだ。スマホの水平器アプリで傾斜を確認するクセをつけておくと、ハズレを引くことが減る。
「眠れない」を卒業するための音・光・心理対策
車中泊で「全然眠れなかった」という人の多くは、音・光・心理的要因のいずれかで躓いている。これは装備を揃えるだけでは解決しない、経験値が必要な部分だ。
音対策は「遮断」より「マスキング」
車のドアの開閉音、人の話し声、エンジン音…車中泊では様々な音に悩まされる。高性能な耳栓を使えばある程度は軽減できるが、完全な無音は逆に不安を感じることもある。特に車中泊を始めたばかりの人は、ちょっとした物音でも「誰か来た!?」とビクビクしてしまいがちだ。
そこで有効なのが「マスキング」という手法。睡眠時の騒音を別の音で覆い隠すのだ。川のせせらぎや雨音といった「1/fゆらぎ」を含む自然音は、脳をリラックスさせる効果がある。スマホのアプリで流しながら寝ると、外部の音が気にならなくなり、眠りの質も向上する。ただし歌詞のある音楽はNG。脳が言語を判断しようとして活性化してしまう。
光対策は「完全遮光」が基本
車内は窓が多いため、外からの光が入りやすい。街灯やトイレの照明、他の車のヘッドライトなど、夜間でも意外と明るい。人間の体は光を感知すると覚醒しやすくなるため、完全遮光のサンシェードやカーテンは必須装備だ。100均のアイテムでも構わないが、隙間から光が漏れないよう、窓のサイズにぴったり合ったものを選ぼう。
アイマスクも併用すると効果が高い。特に朝日が昇る時間帯は、どれだけサンシェードを完璧にしても光が漏れることがある。アイマスクをしていれば、予定より早く起こされることなく、必要な睡眠時間を確保できる。
心理的安心感は「慣れ」と「場所選び」
車中泊を始めたばかりの頃は、自分でも気づかないうちに緊張や警戒心を抱えていることが多い。「変な人が来たらどうしよう」「車上荒らしに遭わないか」といった不安が、無意識のうちに眠りを浅くする。
これは正直、回数を重ねて慣れるしかない部分もある。ただ、最初のうちは「安心できる車中泊地」を選ぶことで、その慣れるまでの期間を短縮できる。具体的には、街灯があって適度に明るい場所、他にも車中泊している車が数台いる場所、24時間利用可能なトイレがある場所を選ぶ。人気のない山奥より、多少賑やかでも人目がある場所の方が、心理的には安心できる。
長期車中泊で直面する「生活の質」問題と実践的解決法
1〜2泊の車中泊なら我慢できても、連泊になると様々な「生活の質」の問題が顕在化する。これは短期の車中泊情報ではあまり触れられない、けれど長期旅には必須の知識だ。
入浴・シャワー問題の現実解
車中泊で最も困るのが入浴だ。1日なら我慢できても、2日、3日と続くと体臭や髪のベタつきが気になってくる。温泉やスーパー銭湯は理想的だが、毎日となると出費もかさむ。
現実的な選択肢として、道の駅併設の温泉施設を計画的に組み込むのが効率的だ。全国の道の駅の約2割には入浴施設が併設されており、相場は500〜800円程度。Googleマップで「道の駅 温泉」と検索すれば、ルート上の候補を簡単に見つけられる。
毎日の入浴が難しい場合は、ドライシャンプーとボディシートの組み合わせが実用的だ。水を使わずに髪と体の汚れを落とせるので、どこでも手軽に使える。特にドライシャンプーは髪のベタつきを抑える効果が高く、1日置きの入浴でも清潔感を保てる。
食事の「飽き」と栄養バランス
車中泊の食事といえば、コンビニ弁当やカップラーメンが定番。でも連泊すると、同じような食事に飽きるのと、野菜不足が深刻になる。栄養バランスの乱れは疲労の蓄積にもつながり、長期旅の大敵だ。
解決策として、道の駅の産直野菜を積極的に活用しよう。新鮮で安く、その土地ならではの珍しい野菜に出会えることもある。カット野菜を買ってそのまま食べるだけでも、ビタミンの摂取量は格段に上がる。また、プロテインバーやマルチビタミンのサプリメントを携帯しておくと、栄養の偏りを手軽に補える。
洗濯物の処理
着替えは圧縮袋で持っていけるが、使用済みの洗濯物をどうするかは意外と盲点だ。臭いが出る前に対処しないと、車内が不快な空間になる。
防臭袋(医療用の臭い漏れ防止袋)が非常に有効だ。介護用品コーナーで売っている「BOS」などの製品は、使用済みの下着や靴下を入れても臭いがほぼ漏れない。これを大きめのジップロックに入れておけば、数日分の洗濯物を気にせず保管できる。
長期の場合は、コインランドリーの場所を事前にチェックしておこう。最近はGoogleマップで「コインランドリー」と検索すれば、営業時間や設備まで確認できる。3〜4日に一度は洗濯をするリズムを作ると、持っていく衣類の量も減らせて一石二鳥だ。
知っておくと助かる「緊急事態」への備え
車中泊では予期せぬトラブルに見舞われることがある。普段なら大した問題でなくても、夜中の見知らぬ土地では対処が難しい。事前に想定しておくだけで、いざというときの冷静さが違う。
バッテリー上がりの恐怖
車中泊で最も怖いトラブルがバッテリー上がりだ。特に室内灯のつけっぱなしや、エンジンを切った状態でのスマホ充電は要注意。朝になってエンジンがかからないと、文字通り身動きが取れなくなる。
対策として、ジャンプスターターの携帯を強く勧める。最近はスマホサイズのコンパクトなものでも、普通車のエンジンを始動できるほどの性能がある。価格も5,000〜10,000円程度で、もしもの時の保険としては安い投資だ。JAFの連絡先を車内に控えておくのも基本中の基本。
急な体調不良への対応
車中泊中に急に体調を崩すケースは意外と多い。慣れない環境での睡眠不足、冷えによる腹痛、食あたりなど、原因は様々だ。
最低限の常備薬は必ず持っていこう。解熱鎮痛剤、整腸剤、下痢止め、絆創膏、消毒液あたりは基本セットだ。また、近くの救急病院の情報をスマホで検索できるようにしておくこと。「〇〇市 夜間救急」などのキーワードで、当直医療機関を調べられることを事前に確認しておこう。
天候の急変
山間部では天候が急変することがある。晴れていたのに急に豪雨、夏なのに気温が急降下、といった状況に対応できる準備が必要だ。
レインコートや防寒着は「たぶん使わない」と思っても持っていくべきだ。特に登山用のコンパクトなウインドブレーカーは、畳むとみかん程度のサイズになり、かさばらない。また、天気予報アプリを複数インストールしておき、こまめにチェックする習慣をつけよう。山間部では天気の変化が早いため、「数時間後」の予報が特に重要だ。
ぶっちゃけこうした方がいい!
ここまでいろいろと書いてきたけど、ぶっちゃけ言うと、車中泊で一番大事なのは「完璧を求めない」ってことなんだよね。
情報を集めれば集めるほど、「あれも必要、これも準備しなきゃ」ってなる。装備を揃えて、場所を調べて、万全の態勢で…って考えると、出発する前に疲れちゃう。で、いざ行ってみたら想定外のことばかりで、「こんなはずじゃなかった」って凹む。よくあるパターンだ。
でもさ、ちょっとした不便も含めて車中泊の醍醐味なんだよね。結露でビショビショになって朝から拭き掃除するのも、荷物の置き場に悩んでパズルみたいに積み直すのも、振り返れば笑い話になる。「あの時は大変だったな〜」って思い出話のネタになる。
個人的な結論として言わせてもらうと、最初は近場で1泊から始めるのがベスト。いきなり遠出の連泊はハードルが高すぎる。近場なら、もし「無理!」ってなっても家に帰れる。その安心感があるだけで、心理的なプレッシャーが全然違う。
そして、「命に関わること」だけは絶対に押さえる。エコノミークラス症候群、一酸化炭素中毒、この2つだけはマジで命取りになる。逆に言えば、この2つさえ対策しておけば、あとは多少の失敗があっても笑って済む。
装備は「最低限から始めて、必要に応じて足していく」のが結局一番効率的。最初から全部揃えると、使わないものも出てくるし、本当に自分に必要なものがわからなくなる。1回やってみて、「あ、これ欲しいな」って思ったものを次に買い足す。そうやって自分だけの車中泊スタイルを作っていくのが、一番楽しいし、一番無駄がない。
最後に一つだけ。車中泊って、やればやるほど「自宅の布団のありがたさ」がわかるんだよね(笑)。不便を経験するからこそ、普段の生活の快適さに気づける。そして不思議なことに、家に帰って「あ〜やっぱり布団最高」って思いながらも、「次はどこ行こうかな」って考えてる自分がいる。
車中泊は完璧じゃない。でも、その不完全さを楽しめるようになったら、もうあなたは立派な車中泊経験者だ。失敗を恐れず、まずは1泊から。その一歩が、きっと新しい旅のスタイルを開いてくれる。
車中泊に関するよくある質問
車中泊に向いている人と向いていない人の違いは何ですか?
気温の変化に弱く脱水症状になりやすい高齢者、大家族、持病のある方は車中泊には向いていません。熊本地震では1週間ほどで足がパンパンにむくみ、限界を感じて避難所に入った高齢者もいました。一方、日中は仕事に行き寝るときだけ車中泊にするという使い方ができる単身者や、避難所にペットと一緒に入れない理由で車中泊を選ぶ方には向いています。ペットがいる場合はトランクが独立したセダンタイプではなく、ワゴン車が便利です。
車中泊を始める前に必ずやっておくべきことは何ですか?
まずは自分のクルマがフラットシートにできるか確認し、実際に自宅の駐車場で一晩寝てみることをおすすめします。準備段階では気づかなかった不快な部分が事前に発見できますし、何が必要で何が不要なのかもわかります。車中泊の専門誌やYouTubeなどで「カーネル」「バンライフ」といったキーワードで検索すると、参考になる事例がたくさん見つかります。
災害時の車中泊で最も注意すべきことは何ですか?
災害時の車中泊では、レジャーとは異なり不安な気持ちを抱えた状態で過ごすことになります。最も注意すべきはエコノミークラス症候群の予防です。フラットな寝床を作り、こまめな水分補給と運動を心がけてください。また、自治体が設置した車中泊避難所を利用することで、仮設トイレや給水施設が利用でき、医療機関による巡回などのサポートも受けられます。燃料の補給がままならない状況に備え、普段からガソリンは満タンにしておく習慣をつけましょう。
まとめ
車中泊は正しい知識と準備があれば、旅の自由度を大きく広げてくれる素晴らしいスタイルです。しかし、経験があるからといって油断は禁物です。エコノミークラス症候群や一酸化炭素中毒といった命に関わるリスクを常に意識し、フラットな寝床づくり、こまめな水分補給と運動、適切な換気を習慣化しましょう。
電源確保には用途に合わせてポータブル電源やサブバッテリーシステムを選び、ソーラーパネルとの併用で天候に左右されない体制を整えることが重要です。道の駅での車中泊はあくまで仮眠の範囲にとどめ、宿泊する場合はRVパークやオートキャンプ場を利用することがマナーです。
2026年に入り、各自動車メーカーから車中泊に特化した車両やアクセサリーが続々と発表されています。車中泊の楽しさを知った今こそ、正しい知識でワンランク上の快適さと安全性を手に入れてください。まずは次の週末、近場で車中泊を試してみてはいかがでしょうか。その一歩が、あなたの旅と人生をより豊かなものにしてくれるはずです。


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